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大会レポート

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第41回 ROBO-ONEロボワン

2022年9月24日~25日の2日間、二足歩行ロボット格闘競技大会・第41回「ROBO-ONE」が開催されました。COVID-19の影響によって2020年9月の37回大会からオンライン大会が続いてきましたが、今大会は無観客・オンライン配信ながら、ロボット同士が直接コンタクトする“リアル”大会が実現されました。

“リアル”大会の再開とあわせて、競技内容には新要素が持ち込まれました。
まず、これまで最大3kgに制限されていたロボットの機体重量が4kgへ緩和されました。より強力なモーターや、自律化のためのセンサーを搭載できる“余裕”が生まれたことで、従来の規格では受け止めきれなかった、新たなアイデアを詰め込んだ機体の登場が期待される変更です。魅力的な“大技”のためのルール改正も盛り込まれました。
そして最も大きく変わったのは「パフォーマンス部門」の新設です。2分間、リング上でロボットを自由に動作させ、制作者がロボットの機構やモーション、工夫した点などを自らアピールする競技です。得点は“カッコよさ”“楽しさ”“技術力”“アイデア”“デザイン”といったポイントで評価され、上位に入賞したロボットは、翌日の「ファイト部門」トーナメントへの出場権を得ることができます。

開幕日の24日に開催された「パフォーマンス部門」は、逆立ちや前転といった運動性能のアピール、ボール投げや“書道”などの小道具を使ったデモンストレーションなど、バリエーション豊かな2分間が、65機の出場台数ぶんだけ披露されました。うち41機は学生・生徒の手によって制作されたロボットで、今大会で“リアル”大会を初めて体験する選手も多かったようです。

最高得点299点を獲得したのは『四代目ヨコヅナグレート不知火』(DrGIY)。新たな4kgの規格に合わせて代替わりした「四代目」による“朝のルーティーン”を紹介するストーリー仕立ての2分間で、体操やセンシングによる攻撃などを披露。体のバランスを崩しそうに見える大きなパンチの動きやダンスでも転倒の素振りすら見せない安定感は、さすが前回ROBO-ONE優勝者の風格でした。2位には276点で『NeutrinoーPeace』(飛騨神岡高校(ヒダカミロボ部))が入賞。同チームは3位に264点で『KAGRA-菫』、4位に263点で『Neutrino-Verde』と高得点を連発し、パフォーマンス部門の上位を独占しました。

今大会では、かつてROBO-ONEで会場を盛り上げた“ランブル”の復活もありました。
通常は1対1で戦うリングへ多くのロボットが同時に上がる競技で、ダウンは何度でもOK。ただしリングアウトすれば負けというサバイバルバトルです。初日の“ランブル”では、パフォーマンス部門でファイト部門への出場権を獲得できなかったロボットが2組に分かれて争い、『Serenadeus』(SERENA Lab)と『automo 09(Kunai)』(holypong)がトーナメントへの最終切符を掴みました。

25日にはファイト部門が開催されました。パフォーマンス部門で高得点を獲得した上位ロボットに、全国各地で開催された認定大会で出場権を勝ち取った7機を加えた42機によるトーナメントです。1回戦・2回戦では久しぶりの“実戦”に攻撃がズレてしまう場面もちらほらと見られましたが、そこは全国から選りすぐられた選手たち。次第に勘を取り戻して熱いバトルが繰り広げられました。
ファイト部門の決勝は、15年のROBO-ONE参戦歴を誇る大ベテラン『クロムキッド』(Kupakuma)に、初優勝を狙う『Typerion』(皆川)が挑む組み合わせになりました。
勢いよくリング中央までダッシュした『Typerion』は、開始10秒ほどで出合い頭のダウンを奪われますが、1分ほどで完璧なカウンターを決めて試合を振り出しに戻します。さらに残り1分を切ったところで、今度は『クロムキッド』のお株を奪うような低い位置からのすくい上げでダウンを奪い、逆転。その後は互いに有利な間合いを探りながらリングを動き回りますが、そのままタイムアップ。『Typerion』の優勢勝ちとなりました。『Typerion』は、2019年2月の第34回大会で決勝まで進みながら、片腕が破損するという不運なトラブルで全力を出し切れず、準優勝にとどまった経験をコメントしてくれました。リベンジの舞台で、先行されながらも冷静に逆転し、勝ち切った試合運びは、その悔しさを糧に身につけたものに違いありません。

ミスミ賞には、パフォーマンス部門で“人間のように各関節を連動させる”ことを意識してボールを投げた『ex machina』(ツノ)、ロボットで手話を披露した『KAGRA-菫』(飛騨神岡高校(ヒダカミロボ部))、市販のサーボモーターを大きく改造したアクチュエーターを全身に配して片足ジャンプを実現した『Raptor』(カトジュン)の3機体が選ばれました。

機体重量制限の変更や新要素の導入によって、新たなコンセプトが盛り込まれた機体が登場してきた今大会。2年ぶりの“リアル”大会が待ち望まれていたのは、ロボット同士が実際に拳をぶつけ合うためだけではありませんでした。会場ではものづくりの精神に共鳴した参加者同士が、アイデアを結集させたロボットをお互いの目の前に置き、“リアル”タイムに意見交換をしていました。オンラインだけでは得られない“リアル”なものづくりの刺激は、きっとこの先の未来で想像を超えてくるようなロボットを生み出す原動力になるはずです。
ミスミはこれからも、「ROBO-ONE」を通じてものづくりの熱い想いを応援します。

開会式

開会式

練習風景

練習風景

試合風景

試合風景

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