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大会レポート

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第36回 ROBO-ONEロボワン
第20回 ROBO-ONE Lightロボワンライト
第6回 ROBO-ONE autoロボワンオート

2020年2月8日から9日の2日間にわたり、今回で第36回目となる二足歩行ロボット格闘競技大会「ROBO-ONE(ロボワン)」が、東京・台場の日本科学未来館にて開催されました。

コロナウィルスの影響拡大に伴って、当日は出場を予定していた中国や南米からの海外選手の辞退が発表されるなか、万全の感染対策で入念な準備を行なった甲斐もあり、韓国チーム・台湾チームの選手団を迎えて無事開催されるに至りました。

大会初日には、2日目に幕を開ける「ROBO-ONE」に先行して、市販のロボットキットをベースに製作された機体同士で戦う「ROBO-ONE Light」(第20回)、そしてロボットの自律動作によりコントローラ無しで戦う「ROBO-ONE auto」(第6回)が開催。「Light」では、「ROBO-ONE」の登録数98機を上回る99機がエントリー。熾烈な延長戦が多数繰り広げられた決勝トーナメントの混沌を制したのは、前回覇者の『Polaris』でした。

さらに、前回大会では予選審査の難度の高さにほとんどのロボットが決勝トーナメント進出を阻まれた「auto」では、より難度を上げた競技ルールにも屈することなく、5機の自律ロボットが予選を突破。激戦を制したのは、「Light」「auto」そしてROBO-ONE本戦、全3競技に出場を果たした百戦錬磨のベテラン『Metallic Fighter』でした。出場者たちの戦いぶりから、センシング(センサー計測)や画像処理へと技術の幅を拡げ、ものづくりの領域の垣根を横断した「つくり手」の新しい在り方に、大きな可能性と期待が感じられる大会となりました。

迎えた2日目。前回大会から新たに採用されたROBO-ONEの予選競技「床運動」は、演技の難易度に合わせて加算されるポイントの総得点で決勝トーナメント進出の切符を争います。実施2回目にも関わらず、回転ジャンプや前転等の種目を軽やかにこなしていくロボットが続き、18機が二桁得点をマークするハイレベルな闘いになりました。なかでも、完璧な演技で史上最高の19ポイントを獲得した『ドキドキロボット』が予選首位に立ち、会場を沸かせました。予選を勝ち上がった53機による決勝トーナメントでは、前回の決勝戦の対戦カード「キングプニvsりんぼ」が準決勝の舞台で再び実現。見事『りんぼ』が前回大会の雪辱を果たす形で、3連覇を狙うディフェンディング・チャンピオン『キングプニ』を下しました。続く『りんぼ』と『Typerion』の一騎打ちとなった決勝戦では、俊敏なサイドステップからじわじわと相手をリング際に追い詰めた『Typerion』に対し、『りんぼ』の一瞬の隙も逃さないカウンターアタックで3-0のストレート勝ち。前回王者を破った勢いそのままに、初優勝を決めました。

「ミスミ賞」に選ばれたのは、予選で土壇場の状況から圧巻の前転宙返りを成功させた『ニュートリノロッソ』、計算され尽くした完璧なジャンプ回転で会場を沸かせた『伊都ノ島(イトノシマ)』、そして一度片腕を故障しながらも、極めて早いリカバリーで復活を遂げ、正統派のモーションでベスト4まで勝ち上がった『KaLMIA(ガルミア)』の3チーム。ものづくりに対する三者三様のこだわりが生んだスペクタクルに敬意を表しての表彰となりました。

社会的な波乱と共に始まりながらも、そうした不安を掻き消すかのごとく、大きな盛り上がりをみせた今大会。ロボットが、時に人間社会の救世主として活躍する未来へまた一歩近づいたような、そんな逞しい技術の進歩を至る所で感じることができました。

9月には「ROBO-ONE World Championship」の開催を控え、今大会では「日本チームvs韓国・台湾合同チーム」のエキシビジョンマッチも開かれました。国や地域、そしてあらゆる技術領域の境界を超越した、ボーダーレスな大会としてますます成熟していくことに期待がかかります。ミスミはこれからも「ROBO-ONE」を通じて、ものづくりへの熱い想いを応援します。

大会会場の日本科学未来館

大会会場の日本科学未来館

ROBO-ONE決勝トーナメントの様子

ROBO-ONE決勝トーナメントの様子

優勝した『りんぼ』写真左

優勝した『りんぼ』写真左

ミスミ賞受賞3機(左から『KaLMIA』『ニュートリノロッソ』『伊都ノ島』)

ミスミ賞受賞3機(左から『KaLMIA』『ニュートリノロッソ』『伊都ノ島』)

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