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大会レポート

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第37回 ROBO-ONEロボワン
第21回 ROBO-ONE Lightロボワンライト
第7回 ROBO-ONE auto /
第4回 ROBO-ONE 剣道

2020年9月19日~21日の3日間にわたり、二足歩行ロボットエンターテインメント「ROBO-ONE」が開催されました。2002年以来37回を数えた今大会でしたが、世界を覆ったCOVID-19の影響が収束を見せない中、日本のみならず世界各地をオンラインで繋げる、史上初の「リモート大会」として実現することとなりました。

これまでの「ROBO-ONE」では、2機のロボットが直接対決し、ダウンを奪い合っていました。しかしROBO-ONE「リモート大会」では、共通規格に沿ってそれぞれが制作したダミーロボットを相手に技を出し合い、その獲得したポイントで勝敗を決める形を採用。正確に素早く技を決められるかといったリアルバトルでも活きる要素に加え、高得点の素晴らしい技をより多く出せるかという“演技”的要素が求められるルールとなりました。

実施されたのは3kg以下の二足歩行ロボットが参加した「ROBO-ONE」、1kg以下の自作機か、指定された市販機の二足歩行ロボットで参加する「ROBO-ONE Light」、人間が操縦せずにロボットがセンサを駆使して戦う「ROBO-ONE auto」という格闘競技3クラスに加えて、ロボットによる剣道の競技会「ROBO-ONE 剣道」も同時開催されました。

大会初日に開催されたのは、第7回「ROBO-ONE auto」と第4回「ROBO-ONE 剣道」。人間が操縦せず、ロボット自身がセンサを駆使して自律動作する「ROBO-ONE auto」では、前回auto優勝の『Metallic Fighter』(森永)ですら取りこぼしがある中、トリプルアイズwithシンプルファイターチームの『Robovie-Z』と『Robovie-Z another type』が、どちらも完璧なパフォーマンスを発揮して10点満点のダブル予選1位。決勝トーナメントでは『Robovie-Z another type』が延長戦でまさかの認識失敗を起こしてしまったものの、決勝戦はもう一方の予選1位『Robovie-Z』と第1回大会優勝者『コビス』(ビスコ)の顔合わせとなり、『Robovie-Z』が予選をほうふつとさせる完璧な認識と動作で優勝しました。

「ROBO-ONE 剣道」は、ROBO-ONE規格に則った二足歩行ロボットに竹刀を模した棒を持たせ、人間が操縦して対戦する競技です。今回は面・胴・小手の部位を持つダミーロボットに正確に当てた数を競うルールでトーナメントが行われました。同じ部位を連続して叩く場合は3秒以上間隔をあけなければならず、他部位を叩く場合はその制限がないため、30秒以内でどうやってポイントを稼ぐのかは、各参加者の作戦が分かれるところです。安定した動きで同じ部位を叩き続ける作戦を採る参加者もいた中、3部位を入れ替えながら素早く叩き続ける『ガルー』(くまま)と『FIREBRAND』(L.L.)の2機が決勝に進み、1ラウンド目10回、2ラウンド目12回という、当日最大ポイントを決勝で記録した『FIREBRAND』が優勝しました。

2日目には第20回「ROBO-ONE Light」、3日目には第37回「ROBO-ONE」が開催されました。

5mmの段差を10回昇降するという「ROBO-ONE Light」の予選では、中学生の『スーパーらいあんキット』(らいあん)が40秒で完走して史上最年少での予選トップを獲得。床運動で競われた「ROBO-ONE」の予選では、『ピラオチュウ』(Fatigue Helpless Hot Moist Dizzy)と『Philosopher』(Dragon Warrior)の台湾勢2機が、ともに13ポイントで予選1位を分け合いました。

決勝トーナメントでは、選手がそれぞれ作成したミーロボットが対戦相手となりました。ダミーロボットとなるペットボトルの中には「ROBO-ONE Light」では1L、「ROBO-ONE」では2Lの水が入れられており、非力なロボットでは倒すだけでも難しいのですが、各参加者は実戦でもたびたび見られる前転蹴りはもちろん、創意工夫を凝らした新技などを披露し、実況席やタイムリーなコメント欄では歓声がとびかいました。特にLightで優勝した『旋風丸二代目』(DrGIY)は、自重と同じ重さのダミーロボットを持ち上げ、そのまま運んで横に放り投げるという、史上初の大技を披露。想像力と技術力の高さを見せつけていました。

最終日のラストを飾った「ROBO-ONE」の決勝は、これまでの大会でも実績を残しながら、トーナメントで涙をのんでいた『わだつみ』(なべ)と『コビス』(ビスコ)が、両者初優勝をかけ、互いの持てる技を出し合ってベストを尽くしました。勝負を分けたのは、機体の腰より高く足が上がる“ハイキック”です。『わだつみ』が1ラウンド目、2ラウンド目でチャレンジするも失敗してしまったのに対し、『コビス』は最終ラウンドでの一発成功で優勝を確定させました。二足歩行ロボットが片足立ちになる難易度の高い技を決勝戦の最後の一撃として決められるのは、優秀なハードウェアとソフトウェアの繊細な調整と、そして精神力の強さを兼ね備えているからなのでしょう。

今大会はリモート開催を筆頭に、COVID-19の影響がすべてに及んでいたことは疑うべくもありません。学校を活動の場としていた学生チームの参加が大きく減少。「ROBO-ONE Light」が45機、「ROBO-ONE」は57機と参加数は近年にない落ち込みとなりました。
しかし、移動の費用や時間がかからないリモート大会は、リアル大会では実現不可能なことを達成しました。この大会の模様はライブ配信され、 視聴数22万以上(ユニークユーザー数8万以上)という過去最大の視聴数を記録。入国制限がある中でチリ・台湾・アメリカ・香港といった海外から、のべ25機のエントリーを集め、国際色豊かになりつつある「ROBO-ONE」の魅力を、オンラインで発信することができたのです。

そして、困難な状況にあっても、今大会では私たちの想像を超える新たな技が次々と飛び出し、新たな記録、そして新たなチャンピオンが生まれました。

新しいものを作りたい、見ている人を驚かせたいという気持ちでチャレンジを続けている人々が、世界中に数多くいることを、あらためて実感できた大会だったといえるでしょう。ミスミはこれからも「ROBO-ONE」を通じてものづくりの熱い想いを応援します。

実況・解説者

実況・解説者

審査員会場

審査員会場

放送会場

放送会場

ミスミ賞受賞『Blue thunder』

ミスミ賞受賞『Blue thunder』

ミスミ賞受賞『ガルー』

ミスミ賞受賞『ガルー』

ミスミ賞受賞『Serenadeus』

ミスミ賞受賞『Serenadeus』

PHOTOS/VIDEOS