REPORTS

大会レポート

REPORTS

第38回 ROBO-ONEロボワン
第22回 ROBO-ONE Lightロボワンライト

2021年2月27日~28日の日程で、二足歩行格闘競技大会第38回「ROBO-ONE」、および第22回「ROBO-ONE Light」が開催されました。前大会に続き、COVID-19の感染拡大を防ぐために参加者や審判、そして実況や解説者、MCもWeb上でリモート環境を繋いだオンラインイベントとなりました。

公認された市販ロボットと1kg以下の自作機が戦う「ROBO-ONE Light」では、49機が参加しました。新たな公認機体も加わり、市販機のライバル関係が変化するのかも注目されました。予選競技は“床運動”。前大会の“段差昇降”と異なり、ジャンプしての旋回や倒立などを1分間で次々とこなす必要がある、格段に難易度が上がった内容でしたが、『スーパーらいあんキット』(ロボットゆうえんちらいあん)が13ポイントで2大会連続のトップ通過。2位には初参加の『アレキサンドライト』(shironyan)とベテランの『ガッテンダーJr』(sima)が12ポイントで並びました。

決勝では大会2連覇を目指す『旋風丸二代目改』(DrGIY)がダミーロボットを完全に持ち上げて投げ捨てる「うっちゃり投げ」をはじめとした安定した技で正確に倒し続け、決勝でも3ラウンド9ポイントで満点を獲得。初優勝を狙った『ヘリオス』(ツノ)を破って連覇を達成しました。

「ROBO-ONE」の予選も「Light」と同じく“床運動”が行われました。出場ロボットの最大重量が3kgと拡大し、その機体を駆動するサーボモーターも強力になるため、技はよりダイナミックに。Web中継で伝わってくる音からも迫力を感じることができました。

36機がエントリーした予選を1位で通過したのは、『Neutrino-Rosso』(飛騨神岡高校(ヒダカミロボ部))。歩行・ジャンプ・回転で3ポイントずつを確保したうえ、逆立ちでは「片手倒立」を成功させて4ポイントを獲得し、単独トップとなる13ポイントを記録しました。1ポイント差の2位には『クロムキッド』。3位はさらに1ポイント差で5機が並ぶ接戦となりました。

決勝トーナメントでは、3ポイントを獲得できる“大技”を複数持っていることが勝利の絶対条件。しかも1回ミスをすればたちまち逆転できなくなってしまう可能性まである、厳しい戦いが繰り広げられました。実際、前回の優勝者『コビス』(ビスコ)は“大技”の失敗をリカバーできず、ベスト8で敗退。予選1位の『Neutrino-Rosso』も2回戦で姿を消してしまいました。そんな中、チームメイトの無念を晴らそうと、着実に技を決めて勝ち進んだ『Neutrino-Azul』(飛騨神岡高校(ヒダカミロボ部))が決勝まで進出。前回4位からの優勝を目指した『雪風』(シムカ)と対戦しました。

第1ラウンドはハイキック対バックドロップで両者が3ポイントを獲得。2Rで『雪風』がバックドロップに失敗し0ポイントに終わると、俄然有利となった『Neutrino-Rosso』がハイキックに挑むものの、当たった位置が低いとの判定でこちらも0ポイントに終わります。最終ラウンドでは先攻の『雪風』が、倒れ込んだ足を使って投げ飛ばす“フランケンシュタイナー”を繰り出したものの失敗。タイムアップ寸前に回転蹴りで2ポイントを決めて『Neutrino-Rosso』の結果を待ちます。3ポイントなら優勝、2ポイントなら延長戦になる大事な一撃に『Neutrino-Rosso』は2ラウンド目で失敗したハイキックへの再挑戦をチョイス。ダミーロボットとの距離も完璧に調整し、高々と上がった足が見事に決まって3ポイントを獲得。1ポイント差で優勝を果たしました。この優勝は、ROBO-ONEに新たな歴史を刻む、高校生チームの初優勝でもありました。

アメリカ、韓国、チリといった海外からのエントリーが途切れず続いているのは、ROBO-ONEが目指す国際化に向けた明るい希望です。対面での対戦が難しく1人でロボットを作り、動かしていたとしても、オンラインでつながったその先には、世界中のものづくりを愛する“同志”が数多くいることが証明されたといえるでしょう。

今大会でミスミ賞を獲得したのは『エスクード』(芝浦工業大学SRDC)、『NEXUS』(広島工業大学Hit-Robotics)、『シルバーキャット』(大阪工業技術専門学校ロボット研究部)という、学生チームによる3機でした。想定されていたリアル対戦での大会や交流が延期になるだけでなく、学生チームは活動の場である学校へも入ることができなかった時期もあったそうです。パーツ一つ作るのにも苦労していた中で機体を完成させ、リモートで競技できる環境を確保し、自分の信じる「強いロボット」「カッコいいロボット」を体現して見せた彼らの心には、間違いなくものづくりへの情熱がありました。

ミスミはこれからも「ROBO-ONE」を通じて、次世代へ受け継がれていくものづくりへの熱い想いを応援します。

実況・解説者

実況・解説者

審査員会場

審査員会場

大会実況

大会実況

ミスミ賞受賞『NEXUS』

ミスミ賞受賞『NEXUS』

ミスミ賞受賞『エスクード』

ミスミ賞受賞『エスクード』

ミスミ賞受賞『シルバーキャット』

ミスミ賞受賞『シルバーキャット』

PHOTOS/VIDEOS