ミスミのデジタルモデルシフトは着実に進展、7月から連結対象とした米国Fictiv Inc.も堅調で、通期業績予想を上方修正
ミスミのデジタルモデルシフトは着実に進展、7月から連結対象とした米国Fictiv Inc.も堅調で、通期業績予想を上方修正
当中間連結会計期間における世界経済は、アメリカの関税政策やそれに伴う各国への影響、不安定な為替相場など先行き不透明な状況が継続しました。これにより主要顧客産業である自動車関連の稼働低迷の影響を受けました。一方、中国・アジアを中心に、通信関連や電子・電機関連等の需要は堅調に推移しました。
こうした環境において、当社はメーカー事業と流通事業を併せ持つユニークな業態を活かしています。これを支える事業基盤をグローバルで進化させ、顧客の確実短納期ニーズに応えることで世界の製造業を中心とした自動化関連産業に貢献しています。これまで当社が築いてきたIT、生産、物流の強固な事業基盤やグローバル拠点網を活用しながら、新商品・新サービスを含む新事業開発を継続し、顧客の需要を的確に捉えることに努めましたが、一部地域においてはアメリカの関税政策による需要低迷の影響を受けました。
この結果、連結売上高は205,814百万円(前年同期比3.9%増)となり、上期として過去最高を更新しました。セグメント別では、FA事業は日本の設備投資需要が低調に推移も、中国の通信関連需要の攻略をはじめ、meviy、エコノミーシリーズ、D-JIT等の独自施策による需要獲得で海外地域が総じて堅調に推移したほか、7月から米国Fictiv Inc.(以下「Fictiv社」)の業績を連結対象としたことから、売上高は72,743百万円(前年同期比8.8%増)となりました。金型部品事業は中国・アジアの成長が、自動車関連の需要低迷で弱含むその他地域をカバーするも、売上高は前年同期に届かず42,573百万円(前年同期比0.6%減)となりました。VONA事業は中国・アジアを中心に堅調に推移し、売上高は90,498百万円(前年同期比2.4%増)となりました。
利益面につきましては、独自施策による数量増等の改善効果はあるものの、持続的成長に向けた施策に関わる支出の継続、為替影響および7月からFictiv社の業績を連結範囲に含めた影響により、営業利益は19,618百万円(前年同期比16.1%減)、経常利益は20,397百万円(前年同期比19.1%減)、親会社株主に帰属する中間純利益は13,997百万円(前年同期比23.1%減)となりました。
デジタルモデルシフト第4弾「MISUMI floow」、日本本格導入
デジタルモデルシフト第4弾「MISUMI floow」、日本本格導入
通期の連結業績予想につきましては、当中間連結会計期間は、アメリカの関税影響を受け自動車関連産業は低調に推移し、日本・欧州を中心に不透明な状況が継続しました。一方、7月より業績を連結範囲に加えたFictiv社を含む独自施策は概ね計画どおりに推移しました。これら上期までの進捗に足元の為替動向やFictiv社の業績堅調を勘案し、2025年10月31日公表のとおり上方修正を行い、売上高は過去最高を更新する見込みです。
今後の主な取り組みとしましては、引き続き、多様化が進む自動化顧客ニーズに対応すべく、デジタルモデルの継続開発に努めるとともに、地域毎成長戦略とのシナジーにより、ユニークな競争優位性を築いてまいります。
「デジタルモデルシフト」の第1弾として展開しているオンライン機械部品調達サービス「meviy」については、累計利用者数がグローバルで21万人を超え、日本のみならず海外でも浸透が加速しています。この7月より連結対象としたFictiv社も堅調に推移しました。同社は米国でカスタム機械部品のオンライン調達サービスを提供しており、今後、リーン化やクロスセル、事業領域拡大などでミスミとのシナジーを計画し、さらなる成長を見込んでいます。
第2弾である価格競争力に優れた「エコノミーシリーズ」については、価格感応度の高い中国・アジアを中心に高成長が継続しています。今後もさらなる成長加速に向け、新カタログ、現地調達、マーケティングなど、各地域に適した強化を図ってまいります。
第3弾の大量調達でも顧客希望数量に短納期で応える「D-JIT」については、海外展開の加速により、上期の海外売上高は前年同期比130%増と大きく伸長しました。下期には米国やメキシコ、インドへの基幹システム導入を予定しており、さらにD-JIT活用地域を拡大する計画です。
そして、これらに続く第4弾として、日本では当期から本格スタートしたのが、間接材トータルコストダウンサービス「MISUMI floow」です。上期時点、先行展開していた中国では480工場、日本でも110工場まで導入が広がってきました。
今後は中国・日本でのさらなる普及とともに、アジアでの展開も進めてまいります。この事業では、当社の従来からの顧客ドメインである自動車・電機などの業種に加え、食品や製薬、家具などの新規業種への顧客開拓にも成功しています。今後も、MISUMI floowシステムの機能増強によって新領域の需要開拓を狙ってまいります。
年間配当金は43円64銭で、増配の見通し
年間配当金は43円64銭で、増配の見通し
当社は、中長期的な視点での成長投資と株主の皆さまへの還元につきましては、バランスを取りながら実施しており、配当に関しましては、経営基盤拡充、財務体質の強化、資本効率の向上なども勘案し、2025年3月期の期末配当より配当性向35%を基準に決定しております。これにより、1株当たり中間配当金は18円02銭(前年同期比1円81銭減)とさせていただきました。期末配当予想につきましては、2026年3月期連結業績予想の修正により、1株当たり期末配当金を25円62銭(前年同期比2円24銭増)に修正し、年間配当金は1株当たり43円64銭の見込みとなります。
代表取締役会長
代表取締役社長