株主・投資家情報

CFOメッセージ

基本方針

基本方針

 成長連鎖経営を通じた持続的な企業価値向上の実現に向け、中長期視点での成長投資を優先しつつ、株主還元とのバランスも重視します。具体的には、下記4つの財務施策に注力することにより、中長期的なエクイティスプレッドの拡大を目指します。

【4つの財務施策】

【4つの財務施策】

1. キャッシュマネジメントシステムの進展
2. 資本効率の改善
3. キャッシュアロケーションの最適化
4. ステークホルダーとの対話の深化

 2025年度はキャッシュマネジメントの進展に伴い、BCP対応を含む必要資金を従前の約1,000億円から約700億円へ見直したことを踏まえ、余剰資金は株価水準なども総合的に勘案の上、自己株式取得に充当することとし、2025年7月には250億円の自己株式取得を公表しました。今後も成長投資機会や株価水準など、状況を見極めた上で機動的なキャッシュアロケーションを適時実施致します。

財務施策の進捗

財務施策の進捗

1. キャッシュマネジメントシステムの進展

1. キャッシュマネジメントシステムの進展

必要資金の圧縮

 ミスミグループでは、成長投資に向けた機動的な資金配置とグループ資金効率向上を目的に、キャッシュマネジメントの基盤構築に取り組んできました。具体的には、2015年度に日本へのキャッシュプーリング導入を皮切りに、2019年度にはグローバルへの事業資金の供給と為替リスク低減を目的とした金融子会社をシンガポールに設立、2021年度には中国へキャッシュプーリングを導入しています。
 その後、地域を跨ぎ資金を一元集約するグローバルキャッシュプーリング導入への取り組みを開始し、2022年度に日本・米州・シンガポール金融子会社・欧州、2025年度には中国と段階的に地域を拡大し、現在、アジア地域への導入に取り組んでいます。
 今般、キャッシュマネジメントの進展に伴うグループ全体の資金流動性が改善したことを踏まえ、BCP対応(有事において、半年間の事業継続に必要な資金を確保)を含む必要資金を従来の約1,000億円から30%減の約700億円へ縮減しました。

在庫の適正化

 在庫管理はチーム単位で行っており、基幹システム内で過剰在庫を自動計算し、各チームの収支や評価に反映させています。過剰在庫は月次の経営会議にて在庫状況を可視化し、事業責任者に対してタイムリーな対策実行を推進しています。また、在庫量の最適化を行うべく、最新のAI技術を活用した需要予測に基づく在庫注文システムを開発し、日本・アジアへ展開、在庫水準縮減など、効果も表れ始めており、今後は欧米など他の地域への拡大により、さらなる在庫資金の圧縮を進めていきます。生産間接材購買プロセスDX革新「D-JIT(ディージット)」は、700社を超えるサプライヤーや自社グループの国内外子会社の在庫情報をリアルタイムでつなぐことにより、従来比16倍の数量対応力を実現、大量注文に備えた自社在庫水準を最低限に抑えることが可能となるなど、在庫資金のマネジメントでも重要な役割を果たしています。

2. 資本効率の改善

2. 資本効率の改善

収益体質の強化

 2018年以降の米中貿易摩擦によるブロック経済化や新型コロナ感染拡大を機に、当社グループの収益力が低下したことを受け、2020年に価格政策・品揃えの見直しや、非稼働資産の圧縮など抜本的な収益構造の改革を進めました。その結果、1株当たり純利益の向上とともに営業キャッシュフローを改善させ、さらなる成長に向けた「meviy(メビー)」「エコノミーシリーズ」「D-JIT」などのデジタルモデルへのシフトや、米国Fictivの買収といったインオーガニック成長に向けた成長投資余力向上に努めました。
 経常的な収益管理は、最新のITを駆使することにより高度化した収益管理システムに、従前から取り組んできた活動原価基準による個別商品別原価計算を融合し、取引の最小粒度である製品出荷単位での収益性可視化を実現しています。これにより、組織別の業績評価のみならず、戦略的施策など、多様なアクションに応じた切り口での採算管理が可能となり、アクションの組み換えや、リソースの再配分といった意思決定に生かしています。

財務レバレッジの活用

 キャッシュマネジメントシステムの進展で、必要資金水準を約1,000億円から約700億円まで縮減しましたが、さらなる投資資金の調達に向け、財務健全性を維持しつつ、コミットメントライン(150億円)の活用など、財務レバレッジの併用も視野に入れた資本効率化を目指します。

3. キャッシュアロケーションの最適化

3. キャッシュアロケーションの最適化

成長投資

 既存事業の連続成長と、新規事業による非連続成長に向けた投資の両方を実施しています。DX推進や生産関連など、既存事業の投資判断においては、IRR(内部収益率)/NPV(正味現在価値)の評価軸に一定のハードルレートを設け、適時適正な投資意思決定を推進することにより、投資効果の高い施策にリソースを配分しています。また、投資後も一定期間ごとに市場適合性を鑑みた効果測定レビューを実施することにより、投資効果の最大化に努めています。
 非連続成長に向けては事業ポートフォリオの再検討を進めるとともに、外部成長の取り込みに向けたアライアンス・M&Aを推進しています。M&A検討時には、専門組織と事業組織で構成されるタスクフォースチームにより、投資リターンと成長戦略の整合性、シナジー効果、事業計画の実現性や、経営者間の相性など、定性的評価と定量的評価を組み合せ、投資の目的と経済合理性を十分に精査し、投資判断を行っています。
 2025年には米州事業の強化と事業領域の拡大を目的に、製品開発領域に強みを持ち、米国を拠点とするFictivを買収しました。ミスミリソースを活用したリーン化とクロスセルによるFictivの成長加速、中期的にはミスミとFictiv両モデルの統合によるシナジー効果の最大化により、北米市場における事業成長と、事業領域の拡大加速を実現します。

株主還元

 配当については従前、配当性向30%を目安としていましたが、経営基盤拡充、財務体質の強化、資本効率の向上なども勘案し、2024年度期末から配当性向35%を目安に実施するよう変更しました。自己株式取得については、手元資金、成長投資機会、株式市場の動向など状況に応じて、機動的に実施することとしており、キャッシュマネジメントの進展による必要資金の見直しや株価水準なども勘案し、2025年7月に250億円の自己株式取得を公表しました。

4. ステークホルダーとの対話の深化

4. ステークホルダーとの対話の深化

 当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を実現する上で、ステークホルダーの皆さまとの対話が極めて重要であると考えています。機関投資家向けの取材は2024年度は526件実施し、コロナ禍以降実施を見送っていた海外投資家向け情報提供も2024年度から再開するなど、理解促進に向けた対話の機会を積極的に創出してきました。加えて、決算説明会資料・説明会動画・説明会QA要旨をホームページに掲載しているほか、2028年3月期第4四半期より国際財務報告基準(IFRS)を任意適用する方針を決議するなど、全てのステークホルダーの皆さまへ公正公平な情報提供をするよう改善を図っています。これらの取り組みを通じて対話の深化を図るとともに、ステークホルダーの皆さまからの視点を真摯に受け止め、資本効率・成長投資・株主還元の最適なバランスをつねに意識しています。

資本市場へのメッセージ

資本市場へのメッセージ

 グローバルに事業を展開する当社グループにとって、急速に変化する外部環境を的確に捉え適応していく「変化対応力」は、今後さらに重要度を増してきます。その中で、資本市場との対話は、単なる情報開示にとどまらず、経営方針や財務戦略に対する市場の理解を深め、また市場からの期待や課題認識を経営に反映させるための重要なプロセスです。
 今後も、資本効率指標の検討・改善を経営の重要課題として位置づけ、透明性の高い財務情報の開示に努めるとともに、市場の声を経営システムに反映させながら資本政策や成長戦略を磨き上げていきます。こうした双方向の対話を通じて、資本市場との信頼関係を深化させ、企業価値の持続的な向上を実現していきます。

常務執行役員 CFO ファイナンスプラットフォーム・ハブ代表役員

高波 徹

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