2025年の国内大会で総合優勝したソーラーカーを前に歓喜に沸く部員たち
- 団体名
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名古屋工業大学 ソーラーカー部
- 活動内容
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太陽光パネルと二次電池を動力源とするソーラーカーを設計・製作・レース出場
- インタビューに答えてくれた方(2026年4月現在)
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工学部4年 大島 陽さん
空気抵抗を避けるような扁平なボディが音もなく滑るように路面を駆け抜ける。ゆるく湾曲した天板からドライバーの顔が飛び出す。天板に沿うように太陽光パネルがびっしりと敷き詰められ、その車体は動力を得て時速80キロに達した――。
名古屋市の名古屋大学ソーラーカー部が製作するソーラーカーは、全長約5m、幅約1.5m、高さ1m、車重160kg。ドライバー一人が乗り込む有人車で、天候次第では数百kmを走り切ることもできます。 この光で走るマシンを、自らの手で設計・製作し、国内外の大会に挑んでいます。
1995年に創部しました。太陽光パネルによる発電と、発電量の変動を補う蓄電システムを組み合わせて走るソーラーカーで、国内外の大会に挑戦しています。ボディのカーボン成形からソーラーパネルのラミネート加工、バッテリーの内製化、さらにはレース中のエネルギー管理システムの開発まで、多分野にわたる技術を部員が分担・習得しながら活動しています。
2020年は新型コロナウイルスの影響で活動が停滞し、技術の継承も途絶えかけました。2021年末から徐々にメンバーが集まり、新たなチームで活動を再開してから約4年、地道に改良を重ね、2025年8月に秋田県で行われた国内大会「WGC(ワールド・グリーン・チャレンジ)2025」で総合優勝を果たしました。
そして今、国内王座の防衛と、2019年に先輩たちが8位入賞したオーストラリアで開催されるソーラーカーの世界大会「BWSC(ブリヂストン・ワールド・ソーラー・チャレンジ)」の再出場を見据え、新マシンの製作に挑んでいます。
名古屋工業大学ソーラーカー部 PV1
全てを「自分たちの手で」作る
全てを「自分たちの手で」作る
私たちの活動の最大の特徴は、ソーラーカーのほぼ全ての装置を自分たちで作っていることです。
ソーラーカーのボディは軽量さが求められます。加えて空気抵抗を抑えるため、カーボン繊維強化プラスチック(CFRP)で成形されます。そのためマシニングセンタによる削り出しが必要で、外注するとコストがかかります。そこで部員たちが考案したのが、ボディ形状をすべて「2次曲面(平面曲げ・ねじり)」で設計するという工夫です。春休みには全員で手やすりを使って削り出す作業もあり、機械を使わない分、削りすぎないよう形状自体を「作りやすい設計」にする工夫も凝らしています。
また、ソーラーパネルのラミネート加工も内製化に成功。かつては米国企業に外注しており多額なコストがかかっていました。国内で経験を持つ専門家を探し出し、顧問教員の研究室のクリーンルームと専用機材を借りて内製化に成功しました。
バッテリーも手作りです。ソーラーカーは太陽光パネルだけでなく、電圧を安定させるためのバッテリーも搭載しています。私たちのバッテリーには、スマートフォンのモバイルバッテリーに使われているような薄型のリチウムイオン電池セルが200個以上入っています。それをメーカーから直接調達し、一つひとつスポット溶接で繋ぎ合わせて、オリジナルのバッテリーパックを製作しています。
さらに、レース中のエネルギー消費をリアルタイムで計測・管理し、レース中にチームが指示を出す拠点(ピット)からドライバーへ適切な走行プランを指示するロガーシステムも自作しています。
この技術は最初からあったわけではありません。コロナ禍で活動が停滞し、部員わずか5名、技術継承も途絶えた時期がありました。それでも、世界大会を経験した先輩の背中を追い続け、仲間と技術を積み上げた結果が、2025年の総合優勝につながりました。今では学内の支援強化団体にも採択され、学内全体から応援される存在になっています。ソーラーカーづくりに本気で向き合い続けていれば、その姿勢は周囲に伝わり、喜びや苦労を分かち合える仲間や協力してくれる人たちが集まってくる。仲間と一緒にソーラーカーを作り上げる過程は、とても楽しく、かけがえのない時間です。
世界大会で有終の美を収めた先代機
新マシンの車体に樹脂を塗布
ミスミ製品が、挑戦の現場を支える
ミスミ製品が、挑戦の現場を支える
部品の調達は、私たちにとって大きな課題の一つです。大学の応援基金口座を通じた購買手続きは煩雑で、欲しいと思ってから手元に届くまで2週間かかることもあるのが実情です。そんな中、ミスミの「学生ものづくり支援」は大きな助けになっています。
一番ありがたいのは、機械部品を一か所でまとめて買える点です。特にセミオーダーの丸ラックは、長さと末端処理を全部指定できるのが凄く便利でした。メーカーに直接連絡を取ると時間がかかるところを、ミスミで一度に解決できました。ハンドル操作を車輪に伝えるステアリング機構の一部にもミスミ製品が採用されており、実際の走行を支えています。
インタビューに応じた大島さん。将来は新素材の実用化に携わりたいと意気込む