2025年度
福岡工業大学 モノづくりセンター i-STEAM教育教材開発プロジェクト

「体験」からものづくりの面白さを届ける――学びの道具としてのエアホッケーロボ

団体名

福岡工業大学 モノづくりセンター i-STEAM教育教材開発プロジェクト

活動内容

STEAM教育教材の開発を通じて、次世代の理系人材の育成に取り組む

インタビューに答えてくれた方

情報工学部4年 谷内拓輝さん
同 赤穂祐斗さん
情報工学部 下戸健・准教授、モノづくりセンター中島美徳さん

私たちは福岡工業大(福岡市)を拠点に小中高生向けに、次世代理系人材育成を目的とした出前授業を行っています。製作した体験型ロボットを子どもたちが操作し目を輝かせ、「自分もこんなものを作ってみたい」という思いを抱いてもらえることを目指しています。

そこで使う教材として、体験型の教育用ロボットの開発に取り組んでいます。単なる展示ではなく、実際に操作しながら仕組みを理解できる「学びの道具」として設計し、体験を通じて学ぶ機会を提供しています。

子どもたちが教育用の無線エアホッケーロボットを操作体験

子どもたちが教育用の無線エアホッケーロボットを操作体験

ゼロから形にする——無線エアホッケーロボット開発

ゼロから形にする——無線エアホッケーロボット開発

私たちが開発しているのは、子どもたちの体験型の教育用ロボットです。具体的には無線で動くエアホッケーロボットを開発しています。

一般的な開発では、製作物単体としての性能や完成度が重視されるのに対し、本プロジェクトでは、教育教材として子どもたちが使うということを前提に、構造の見える化や安全性、分かりやすさ、使いやすさに注力しながら、設計から加工・制御までを学生主体で進めています。

特にこだわったのが、エアホッケー台の空気の流れを均一にすることです。1000個以上の穴を一つひとつ手作業で開け、配置や仕上げを何度も調整することで、滑らかな動作を実現しました。

このロボットには、アクリル板やタイミングベルト、シャフト、モーターといった、ミスミから提供頂いた部材を組み合わせて使用しており、それぞれの特性を活かしながら構造を設計しています。また、部品調達では、ECサイトで3D CADデータのダウンロードサービスを活用することで、設計段階から完成イメージを具体化でき、試作や改良の精度とスピードを高めることができました。寸法指定でそのまま使用できる部品は加工工程の削減にもつながり、より多くの時間を「教育用ロボットとしてのあり方」を考えることに使えました。

それでもすべてが順調に進むわけではありません。こうした加工や調整には時間と手間がかかり、限られたスケジュールの中で思うように進まない場面も少なくありませんでした。 「今年はどこまでやるべきか」「別の方法で実現できないか」といった判断を繰り返しながら、試作・検証・改善を積み重ねてきました。支援によって挑戦の幅が広がり、制約の中で試行錯誤を重ねながら「次の誰かの一歩を生み出し続けること」という理念をいかに形にするかを考え続ける力が磨かれていることを実感しています。

そして、このプロジェクトでの経験は、私たちの将来にもつながっています。 教育分野で新しい仕組みをつくりたい。 ものづくりで社会を支える仕事に携わりたい。 自分たちの好みや得意を軸に、未来を描き始めています。

無線エアホッケーロボットの説明・子どもによる操作体験の様子

「やりたい」を起点に動くプロジェクト— i-STEAM教育教材開発とは

「やりたい」を起点に動くプロジェクト— i-STEAM教育教材開発とは

このエアホッケーロボット開発は、福岡工業大学モノづくりセンターが運営するプロジェクト群の一つ、i-STEAM*1教育教材開発プロジェクトの取り組みとして行われています。学生が自ら選択したプロジェクトを推進し、年間を通じてPDCAサイクルで進めることが特徴です。

i-STEAM教育教材開発プロジェクトは、体験を通じた学びの提供を目的としており、イベントで得られた反応や気づきをもとに改良を重ねるなど、開発と体験が循環する構造で取り組んでいます。開発から提供、フィードバック、改善までを一貫して回している点では製品開発に近い構造を持っていることも魅力です。 新しい教材は春から夏に学生が設計・開発を行い、秋のイベントでその試作品をお披露目しています。同時に、大学が開催するサイエンスフェスタや地域向けの科学教室などにほぼ毎月参加しています。特に出展が集中しているのが小中高生の夏休み期間です。私たちは限られた時間の中で試行錯誤を繰り返しながら、より良い体験を提供するための改善を続けています。

※1

STEAMは、Science、Technology、Engineering、Arts、Mathematicsを横断的に学ぶ教育分野を指します。iは大学で修得した学術的なinformationを指しますが、それを基に、中高生とinteractionしながら、独自のSTEAM教材をinnovationする福岡工業大学独自の取り組みです。

i-STEAMプロジェクト紹介動画

興味を引き出し未来へつなぐ

興味を引き出し未来へつなぐ

こうした試行錯誤の積み重ねが、子どもたちに届ける体験を形作っています。

イベントで実際に子どもたちに体験してもらうと、まずはゲーム感覚で夢中になって操作し始めます。遊びの延長であっても次第にその仕組みに興味を持ち始めます。「すごい」「面白い」「またやりたい」「自分も作ってみたい」。目を輝かせた子どもたちの言葉を聞いたとき、何とも言えない達成感が生まれます。

作ったものが、誰かの興味を引き出し、その先の未来の選択肢を広げる。それを目の当たりにするこの瞬間こそが、私たちがものづくりを行う原動力となっています。自分たちの手で創った体験を、次の未来へ―この想いを胸に、今日も活動を続けています。

プロジェクトチームのメンバー。赤穂さん(前列左から2番目)、谷内さん(同3番目)、下戸准教授(後列右端)。

プロジェクトチームのメンバー。赤穂さん(前列左から2番目)、谷内さん(同3番目)、下戸准教授(後列右端)。

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