- 団体名
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新潟大学 NiCs(新潟大学CanSatプロジェクト)
- 活動内容
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ランバック/フライバック/ロケットの3部門で、設計・製作・試験を学生主体で実施
- インタビューに答えてくれた方
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工学部機械システム工学2年 原悠真さん
工学部機械システム工学2年 伊藤逞さん
新潟大学の学生ものづくり教育プロジェクトの一つであり、学生が主体となって活動する NiCs(新潟大学CanSatプロジェクト)は、小型自律走行探査機やハイブリッドロケットの製作・運用を通して、宇宙開発の基礎を学ぶ団体です。設計から製作、試験、運用までを学生主体で行い、実際に「飛ばす」「走らせる」「回収する」ところまでを自分たちの手で完結させることを目的に活動しています。
2026年のNiCsメンバー。設計から運用まで学生主体で取り組む (左)
機体回収中のNiCsメンバー。自作機体をチームで安全に搬送(右)
NiCsは、缶サイズの小型探査機「CanSat」の開発を行う団体で、機体はセンサーやプログラムによる自律制御によって動作します。現在はランバック・フライバック・ロケットの3部門で活動し、毎年8月に開催される能代宇宙イベント(秋田県能代市)などの大会に参加しています。
今年の大会でNiCsが目標としていたのは、単にロケットを飛ばすことではありませんでした。走行体(ランバック)の走行、ロケットの打ち上げ、そしてパラシュート開傘による回収までを、一連の流れとしてやり切ること——それがチームとして掲げた到達点でした。ロケット競技では、機体を回収できなければ検証できない飛行データも存在するため、「回収まで」を含めて初めて実験が成立します。
実際の大会では、フィールド条件や当日の運営判断によって、走行に至らず終わるチームも少なくありません。そうした中、NiCsは当日の進行でも大きなトラブルなく対応し、予定時刻から1分後に打ち上げを実行。結果として、競技面だけでなく運営面も評価されたチームに送られる「タイプエス賞」を獲得しました。
私たちが今大会で最も印象に残っている瞬間として挙げるのは「回収」です。自分たちの作った機体が飛んで、パラシュートが開いて、ちゃんと回収できた瞬間は今でも忘れられません。
頂点到達後、パラシュート展開により無事回収(左)
打ち上げられた機体は安定して上昇(右)
一方、設計・製作では、ものづくりにおける現実的な視点を獲得しました。機体はまずちゃんと飛ぶこと。それができたのが誇らしかったということです。「飛ぶ」を確実にし、その先で「戻す」までやり切る。この二つの言葉は、そのままNiCsのものづくりの思想を表しています。
その思想が形になったポイントは、大きく3つあります。
① 打ち上げ工程の内製化
これまで他団体に頼っていたGSE(陸上支援装置)を自作しました。ロケットに酸化剤を充填し、遠隔点火するための装置です。
NiCsが内製化したGSE(地上支援装置)
② 回収の確実性向上
高度データを用いた頂点検知により、適切なタイミングでパラシュートを展開し、機体をほぼ無傷で回収しました。
③ 当日運営の徹底
役割分担と事前手順の共有により、想定外の事象にも迅速に対応できる体制を構築しました。
こうした成果を支えていたのが、「失敗を反省で終わらせない」文化です。目標は「10回に8〜9回は開く」再現性。一発勝負ではなく、繰り返しても同じ結果を出すことを重視しています。試作と検証を支えたのは部品調達です。ネジや角パイプなどを大量に活用し、来年度以降の大会を見据え、2025年の大会後からはGFRP (ガラス繊維強化プラスチック)にも挑戦しました。NiCsはミスミの支援により、ネジや構造材などの部品を安定的に調達でき、試作と検証を繰り返す環境を整えることができました。その結果、設計の改善サイクルを加速させ、完成度と再現性の向上につなげることができました。特にGSEの内製化や機体構造の試作において、部材制約を受けずに開発できた点が大きな成果でした。
失敗を分解し、学びに変え、改善し続ける。走れた、飛べた、回収できた——それは通過点に過ぎません。NiCsのものづくりは、より高い再現性の確立と競技全体を安定して完遂できる体制づくりへと次の段階に進んでいます。具体的には、打ち上げから回収までの成功率の向上と、より精度の高い飛行・走行性能の実現を目指しています。