茗溪学園高校の校舎内にて、STEM レーシングチーム「LAP17」のチームポロシャツを着用するメンバー。(前列左から)西山紘章さん、川島一瑚さん、宗澤武寛さん。(後列左から)伊藤拓真さん、平林哲明さん
- 団体名
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茗溪学園高校 LAP17(ラップ・セブンティーン)
- 活動内容
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STEMレーシングとして、ミニチュアF1カーを設計・製作
- インタビューに答えてくれた方(2026年4月現在)
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3年 川島一瑚さん
3年 平林哲明さん
“走る科学実験”で世界に挑む
“走る科学実験”で世界に挑む
東京・秋葉原―茨城・つくばを結ぶつくばエクスプレスの終点から車で10分余り。緑に囲まれた茗溪学園高校があります。LAP17は教室の一角で、圧縮空気で走る“ミニチュアF1カー”を設計・製作し、STEMレーシング競技の世界大会出場を目指しています。
高校2年の夏の終わり、車好きのメンバーの一言をきっかけに「STEM Racing(ステム・レーシング)」という競技への挑戦を始めました。「STEM」とは、科学(Science)・技術(Technology)・工学(Engineering)・数学(Mathematics)の頭文字。これらを横断的に学ぶことで、AI時代に必要な正解のない問題に挑む力を育てる、という米国発祥の教育理念です。
この教育理念に基づく「STEM レーシング」では、“ミニチュアF1カー”を設計・製作し、圧縮空気カートリッジで20mの直線を走らせ、タイムを競います。世界60か国以上、約2万9000校の学生が参加する競技です。ですが、日本ではまだ競技人口が少なく、茨城県から全国大会への参加は私たちが初めてです。今年6月の全国大会で上位2枠に入れば10月の世界大会の出場権を得られるので、それを目指しています。
ミニチュアF1カーは、エンジンで走るわけではありません。使うのは、圧縮空気が詰まった小さなカートリッジ。スタートと同時に空気を一気に噴射し、金属製の20m直線コースを走り抜けます。瞬発的な推進力を無駄なく速度に変換する必要があるので、まさに“走る科学実験”といえるでしょう。
軽いピンポン玉より重い野球のボールの方が速く飛ぶことからもわかるように、車体設計においては軽量化だけでなく、空気の流れをどう設計するか、まっすぐに走行できるか、を考慮しなければなりません。車体サイズは技術規則で定められており、多くのチームが20-21㎝で制作します。世界大会トップクラスのチームがつくる車体は20mのコースを1秒足らずで駆け抜けます。これは高速道路の並みのスピードです。
出典:2025年8月25日付プレスリリース、【STEM Racing】日本で本格始動! https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000166900.html
「当たって砕けろ」の精神で支援を獲得
「当たって砕けろ」の精神で支援を獲得
私たち普通科の生徒には高専や工業高校のような設備環境へのアクセスがなく、ミニチュアF1カーの設計に使うCADやANSYSも、YouTubeを見ながら独学で習得してきました。資金面の制約も大きいのですが、それでも東京のイベントに足を運び、面識のない企業とメール一本から関係を構築し、支援の輪を広げてきました。とにかく、やらないと始まらない。失敗したら『あ、失敗したわ』と笑って、次に進みます。当たって砕けろ、の姿勢です。クラウドファンディングも行い、2026年4月15日時点で11万円を集めました。
次の誰かのきっかけを作りたい
次の誰かのきっかけを作りたい
LAP17では競技以外にも、活動の場を広げています。
国内で唯一「TIB(Tokyo Innovation Base)」※1 に常設されているSTEM Racing用20m直線レールを、ミスミのアルミフレームとmeviyを使って再現し、地元イベントで子どもたちに体験してもらう企画を進めています。
自分自身、メンバーからの誘いがなければ、こんなに夢中になれるものに出会えていませんでした。だから、次の誰かがSTEM レーシングやものづくりに出会う入り口を広げたいんです。自分たちが多方面からのサポートを受けているからこそ、それを”次の人たち“に還元したい。今の学生は簡単に多くの情報にアクセスできますが、好きなことに出会えないまま大人になるケースも多いのではないでしょうか。それは本人にとっても勿体ないと思います。
- ※1
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TIB(Tokyo Innovation Base):東京都千代田区「JR有楽町駅」のそばに東京都が設立した、スタートアップ支援拠点。
LAP17が制作中の車体。車軸とベアリングにミスミ部品を使用
ミスミ支援で試作品にベアリングを使えるように
ミスミ支援で試作品にベアリングを使えるように
「ミスミ学生ものづくり支援」の特別支援団体に選ばれたことは、私たちにとって大きな後押しでした。提供された10万円相当の部品購入枠は、主にベアリングの購入に充てました。そのおかげでミニチュアF1カーの試作品に心おきなくベアリングを使うことができ、試作と検証の幅が格段に広がりました。
LAP17は部活でなく有志団体なので、機材の置き場所や活動場所が当たり前に確保されているわけではありません。普通科で学ぶ私たちは、設備面で高専や工業系高校をうらやましく感じることもあります。でも、このようなハンデを乗り越える経験は、必ず自分たちに何かをもたらしてくれると信じています。私たち同様、普通科でものづくりに挑戦している人たちにも、この思いを伝えたいです。