支援団体インタビュー

2022年度

渋谷教育学園渋谷高校

SAZANKA Robotics

インタビューイメージ

【活動内容】

世界規模の国際的なロボット競技会であるFIRST® Robotic Competition(通称:FRC)への出場に向けて活動をしています。

■SAZANKA Robotics(サザンカロボティクス)公式HP
https://sazankarobotics.com/

【インタビューに答えてくれた方】(2023年12月現在)

秦 恒軒さん(SAZANKA Robotics(サザンカロボティクス)プロジェクトリーダー
/渋谷教育学園渋谷高校2年)

『ミスミ学生ものづくり支援』を
利用して

今回は、世界規模の国際的なロボット競技会であるFIRST® Robotic Competition(通称:FRC)出場に向け活動している、SAZANKA Robotics(サザンカロボティクス)のプロジェクトリーダー秦恒軒さんにお話を伺いました。

私たちSAZANKA Robotics(サザンカロボティクス)は2020年に結成された、学校横断型の、中高生が集まったロボコン団体です。 学生ものづくり支援では、ロボットを製作する為の部品類として、ベアリングやネジ類、ロボットのアルミフレーム、スライダーの機構部分にリニアガイドを活用させていただきました。工具類としては、インパクトドライバーや電動ドリルを支援していただいています。また、私たちはCNC(コンピュータ数値制御)などの加工機械が手元に無かったので、meviy(メビー)※1を活用しロボットのアルミフレームと、モーターなどを繋ぐジョイントの部分を製作させて頂きました。

私たちが参加する世界規模の国際的なロボット競技会、FIRST® Robotic Competition(通称:FRC)では、ロボット製作に掛けられる期間が6週間程しかありません。時間を十分に確保できない中、ミスミの製品は品数が豊富で部品選定がしやすく、meviyは注文してから到着まで1週間足らずで届くので、非常に助かりました。

※1 :ミスミが提供する機械部品調達のAIプラットフォーム。3D CADで設計した機械部品のデータをアップロードすると即時見積もり、加工、最短1日での出荷が可能。

初心者でも理解しやすい
シンプルな設計を意識

昨年度はFRCの地区大会であるハワイ大会に出場し、現在は来年1月上旬にルールが発表されるFRC 2024シーズンに向けて準備をしています。

FRCは、毎年異なるルールに基づいて約60kgのロボットを設計し、競い合うロボコンです。6週間でロボットの設計からプログラミング、走行練習までのすべてを中高生で行う必要があります。

また、現地で初めて会う3つのチームが1つのグループとなり、3チーム対3チームで競い合うというルールとなっているため、それぞれのロボットが持つ得意分野や不得意分野をお互いに補い合いながら競技を行います。

私たちは、昨年度のFRC出場の際に、ロボット製作において2つのポイントを特に重視していました。1つ目は、ロボット自体の重心を下げてCharge Station(シーソー)でバランスを保ちやすくする点。2つ目は、ロボット製作経験が少ないメンバーでも、組み立てやすく理解しやすいようなシンプルな機構を使用するという点です。これらのポイントを達成するために、私たちは大きく分けてリフト、スライダー、アームという3つの機構をロボットに採用しました。

インタビューイメージ大会ルール詳細

開発に関して苦労した点は、スライダーの機構です。今回のルールでは、最大で1.2mほどの高さの位置にあるゴールにコーンやキューブを運ぶ為、伸びるような機構にスライダーを採用していたのですが、スライダーが左右で思うように同期せず苦労しました。

この事象は、ロボットに使用していた3Dプリンター部品とフレーム間の摩擦や、パーツの反りなどが原因でした。その対策として、パーツとフレームの間の隙間を広げ摩擦を低減させる対策や、スプレーなどで滑りを良くさせる対策を行いました。

その他、プーリーの部分にも工夫を凝らしました。スライダーは紐を使って駆動しており、その紐をかける部分のプーリーのパーツを3Dプリンターで製作していたのですが、このパーツが紐の加重でそのまま割れてしまう事がありました。この事象の改善のため、プーリーの間にベアリングを挟む工夫を行い、耐荷重を増やすなどの対策を行いました。

インタビューイメージ開発に苦労したスライダー
インタビューイメージ改良したベアリング

ものづくりのその先を見据える
経験や技術を武器に
ロボット×社会貢献を考えた活動

現在は、来年度のFRC2024大会で「地区大会で勝利して世界大会に進出する」事を目標に掲げ、過去の大会のロボットを参考にしながら技術力を向上させたり、資金調達などを行ったりしている段階です。

私たちは、結成から4年ほどしか経っておらず、技術面や組織面などで未熟な点が多くあります。それでも、FRCに取り組みながらロボット技術や組織力を高め、大会で培ったロボット技術などを武器とすることによって「社会の中で自分たちはロボット技術を使って何ができるだろう」というアイデアを考え、実行していくことができるような団体になりたいと考えています。

また、現在はものづくりに取り組んでいる学生と、社会問題の解決などをテーマに自主的に活動を行っている学生が関わる機会があまりありません。そのため、将来的にはそのような学生同士が交流する事で、より多くの人がロボットと社会の繋がりについて考え、アイデアを出し合えるような場を設けたいと思っています。ロボットが好きな人、ものづくりが好きな人だけではなく、社会問題など様々な関心分野を持った人が集まることで、ロボット技術の社会応用に向けて自由にアイデアを出し合い、実現できる。単純なロボコン団体に留まらないコミュニティになることが、私たちの活動の最終ゴールです。

最後に、「ミスミ学生ものづくり支援」と「ものづくりに取り組む学生のみなさん」へ
メッセージをいただきましたのでご紹介します。

ミスミ学生ものづくり支援は、資金力の無い団体でも、ものづくりへ踏み出すきっかけとなる、とてもありがたい取り組みだと思います。ものづくりの過程では、作ったものが思い通りに動かないなど大変な事が多くあります。その一方で優秀なエンジニアの方から刺激を受けることができたり、沢山の企業やコミュニティと繋がって応援して頂くことができたりと、ものづくりをすることでしか得ることのできない経験も沢山あります。作ったものが動くときのワクワクや、ものづくりでしか得られない刺激を大切にして、これからも楽しみながらものづくりに取り組み、挑戦を続けて行きたいと思います。

インタビューイメージ大会での作業風景
インタビューイメージ競技中の様子