支援団体インタビュー

2022年度

東北大学

FROM THE EARTH

インタビューイメージ

【活動内容】

「大気圏突破」「すべての人に夢と感動を」という団体理念のもと、主にハイブリッドロケットを製作しています。そのほか、ARLISSや種子島宇宙コンテストなどの大会に向けたCanSatの製作や、社会事業として、地域の中高生に向けてモデルロケット教室、ペットボトル教室などの科学教室も行っています。

■FROM THE EARTH 公式HP
https://fte-tohoku.tech/

【インタビューに答えてくれた方】(2023年12月現在)

永山 虹空さん(ロケットプロジェクトPM/工学部3年)
長内 海渡さん(12期代団体代表/工学部3年)

『ミスミ学生ものづくり支援』を
利用して

今回は、「大気圏突破」「すべての人に夢と感動を」という団体理念のもと、主にハイブリッドロケットを製作している東北大学ロケットサークルFROM THE EARTHの永山さん(ロケットプロジェクトPM)、長内さん(12期代団体代表)にお話を伺いました。

ミスミ学生ものづくり支援では、ネジ類、機械加工工具、機械加工部材を支援していただきました。

今回のような支援がないときには、必要なものを必要になったら購入しており、特にネジ類などの消耗品はすぐ使いたいときに手元にないということがありました。今回の支援ではあらかじめよく使うネジ類をまとめて購入することができ、消耗品の在庫を心配することがなくなりました。機械加工工具についても、新調するよいきっかけとなりました。

※5ガラス繊維強化プラスチック(Glass Fiber Reinforced Plasticsの略称)プラスチックをガラス繊維で強化したもの。プラスチックだけより強度が高い
※6機体などが、空気中で動く物体に対して気流が作用する力

インタビューイメージ部品の加工作業

経験を積み重ね、
4度目のチャレンジで
打ち上げに成功

私たちは「大気圏突破」「すべての人に夢と感動を」という団体理念のもと、主にハイブリッドロケットを製作しています。

ロケットプロジェクトは製作部と開発部に別れており、製作部では従来通り宇宙イベントで飛ばすロケット製作、開発部では自作エンジンの開発や、飛行軌道を電子制御するための開発を行っています。難易度は高いですが「大気圏突破」への大きな原動力となる開発活動を行っています。

インタビューイメージ過去の経験を活かし、グレードアップした機体

赤い機体は、去年11月から今年の夏にかけて製作した機体です。高高度を目指して機体の高剛性化を図ることや、空力性能を向上させるため、フィンやテールコーンの設計を行い、過去機体で得た成果を高推力エンジン搭載の機体で実証することが目的です。

今回搭載予定であるエンジンの最大推力は過去機体より大きく、最大対気速度も速くなっています。そのような機体を打ち上げて回収するために、過去に制作した機体が成しえなかった減速落下と機体完全回収を成功するために、今までの成果を受け継ぎ、グレードアップさせました。

また、ピンク色の機体はフェアリング解放機構※1の実証をミッションとしています。2年前の夏の打上実験からフェアリング解放機構の開発を行っており、この機体は4度目の挑戦でした。

これまでの機体における機構の反省点を活かしながらリメイクを行い、2023年8月に行われた能代宇宙イベントにて打上成功し、初めてとなる解放機構作動と開傘を確認しました。缶サット※2には通常のロボットコンテストで必要とされるアクチュエータ※3周りの機構、アルゴリズム・センサフィードバック※4、電子回路等の技術に加え、落下の衝撃に耐えられる構造、機構・構造の小型化、自動走行アルゴリズムなど、実際の宇宙探査ローバーに必要とされるような技術が必要です。

そのため、異なる分野の知識を統合して設計・製作することに加え、自分たちが作成したものが、壊れずに想定通り走行ができるか試験を行わなければいけません。制約がある中での設計・製作は難しいですが、やりがいを感じています。

※1 パラシュートの収納・放出を行う機構の名前、機体進行方向にノーズ部を割り、進行方向と垂直に分離するのが特徴
※2 小型衛星で用いられるものと類似の技術を使用して製作される、飲料水の缶サイズの小型の模擬人工衛星
※3 電気などのエネルギーを動力に変換する部品、モーターなど
※4 気圧計、加速度計などのセンサからの状況に応じて適切な動作を行う制御

インタビューイメージ打ち上げに成功したピンク色の機体
インタビューイメージ制作した缶サット

チームの更なる発展のため、
受け継ぎたい団体理念

今までの成果を引継ぎ、少しずつ発展させて行きたいと思っています。自作エンジン開発では、大推力化を見据えて、大型でも安全に運用できるエンジンの実現に向け、推力シミュレーション改善のための試験器の実験を行っていきます。アビオニクス開発では数年単位の開発を計画しており、ロケットのフィン制御実証機、固体燃料ブースター実証機、TVC実証機などを数年かけて開発していきたいと考えています。将来を見据えたマネジメントは他の開発や製作とは異なる意味で難しいですが、「大気圏突破」という団体理念を本気で達成させるという強い意志のもと開発を行っていきます。

最後に、「ミスミ学生ものづくり支援」と「ものづくりに取り組む学生のみなさん」へ
メッセージをいただきましたのでご紹介します。

「ミスミ学生ものづくり支援」に選んでいただきありがとうございます。支援や、本インタビューは励みになります。学生にはできないことがある一方で、学生にしかできないことがあると思います。“学生”というアイデンティティに、自信をもって一緒に頑張っていきましょう。