支援団体インタビュー

2022年度

名古屋大学

名古屋大学宇宙開発チームNAFT

インタビューイメージ

【活動内容】

2014年に発足し、「能代宇宙イベント」や「伊豆大島共同打上実験」など全国の大学チームが参加するハイブリッドロケット※の打上実験に向け安全第一でロケットの開発・運用を行っています。
ロケット班内では燃焼、構造、電装、空力といったセクションに分かれることで、メンバーの専門性を高め、安全の担保と高度な機体の開発を目指しています。

※ハイブリッドロケット:固体燃料と液体燃料を用いるロケット

■名古屋大学宇宙開発チームNAFT HP
https://naft.space/

【インタビューに答えてくれた方】(2023年12月現在)

飯田 和大さん(名古屋大学 工学部機械・航空宇宙工学科学部4年)
大嶋 シュテファンさん(名古屋大学 工学部エネルギー理工学科学部4年)

『ミスミ学生ものづくり支援』を
利用して

今回は、「能代宇宙イベント」や「伊豆大島共同打上実験」などハイブリッドロケットの打上実験に向け活動している、名古屋大学宇宙開発チームNAFTロケット班PMの飯田さん、前構造班の大嶋さんにお話を伺いました。

※ハイブリッドロケット:固体燃料と液体燃料を用いるロケット


ミスミ学生ものづくり支援では、機体のチューブ締結に用いるボルトや機体を分離させパラシュートを放出させるためのスプリング、燃料の供給を行う配管に使用するステンレスパイプ、電装部品の製作には欠かせない安定化電源などを支援していただきました。

以前からミスミECサイトを利用させていただいていますが、商品の寸法や材料などが細かく用意されているため設計の利便性がとても良いです。また商品購入時には各部の寸法による検索もできるほか、特性も一覧で表示されるため非常に選定の行いやすいサイトだと思います。

インタビューイメージボトル、スプリング、ステンレスパイプなどを注文

部員間の
コミュニケーションを大切に、
日々技術力の向上を図る

当団体のロケットの特徴として機体後部に取り付けられているフィンが自由形と呼ばれる形状で設計を行なっていることにあります。多くの学生ロケット団体は空力的な計算が容易で制作も簡単な台形のフィン※1を用いるのが主流ですが、当団体ではCFDソフト※2を駆使して開発しており、ロケットの飛翔中の安定性を保ちつつ、飛翔に伴う抗力の発生を台形フィンより小さくできる自由形のフィンを採用しています。

近年の取り組みとして、到達高度を高めるために軽量化に力を入れています。具体的には機体の構造部材であるCFRP※3やアルミニウム製のパーツの材料・設計・制作方法を再考し必要強度を確保しつつより軽量に制作できるようにしています。そして、これらのパーツをほとんど団体内で制作・加工することで、部員の材料や加工に対する理解・技術力の向上を図っています。

※1 フィン:空気の力を利用してロケットの安定性を保つパーツ
※2 CFDソフト:コンピュータを用いて,空気などの流れの性質や効果を解析するソフトウェア
※3 CFRP:炭素繊維強化樹脂の略称.非常に軽いにもかかわらずとても強い材料

インタビューイメージミスミ製品を利用したロケットの制作風景

ロケットの打上は基本的に本番の1度きりです。開発の段階でエンジンに点火して機体を飛ばしパラシュートを開いて落下させるという一連の流れを試験することはできません。そのためセクションごとに徹底して試験を行います。

例えば本番でGSE※1を扱い点火操作を行う燃焼班では、準備から打ち上げ後の安全確保までを想定して事前に手順書・トラブルシュートを用意して複数回リハーサルを行い、本番に確実な運用が出来るように練度を高めています。そのため、コミュニケーションツールや複数人で共有可能なアプリケーションを使用することで、チーム間での情報の齟齬を減らすことを意識して活動しています。

今後は、可動フィンやリアクションホイール※2を用いた高度な機体制御や自作エンジンの開発に挑戦していきたいと考えています。特にエンジンについては現在、既製品を使用していますが購入先が限られており入手性が良いとは言えません。そこで自前でエンジンを開発することでロケット全体の開発や実験の確実性を高めるほか、大きな推力を得てより高度まで飛翔するロケットの制作を行いたいと考えています。

※1 GSE:地上支援設備.発射台まわりの,燃料を供給する配管やそれを操作する電装類のこと
※2 リアクションホイール:内部で金属板を回転させ、姿勢を制御する

インタビューイメージ完成したハイブリッドロケット
インタビューイメージロケットの打ち上げ準備

最後に、「ミスミ学生ものづくり支援」と「ものづくりに取り組む学生のみなさん」へ
メッセージをいただきましたのでご紹介します。

この度はご支援いただきありがとうございました。学生団体である以上費用の問題はついてまわりますが、ミスミ様にはこれを力強く後押ししていただきました。
私たちNAFTは「宇宙を身近に」をモットーに活動を行っています。自分たちの手でものを作るという経験は、未知のことを知り、知っただけでなく手を動かして自分のものにすることで、憧れるものをより身近にする近道だと感じています。全国の学生ものづくり団体の皆さんもきっと憧れるものがあると思います。皆さんとお会いすることは出来ないかもしれませんが、同じものづくりをする仲間として切磋琢磨していきましょう!