支援団体インタビュー

2017年度

東京工業大学 ロボット技術研究会

Maquinista

インタビューイメージ

【活動内容】

機械工作・電子工作・プログラミングなどのものづくり活動を行う東京工業大学の公認サークルロボット技術研究会内の研究室の一つ、Maquinista(マキニスタ)は、自作のロボットで「NHK学生ロボコン」に出場し、優勝を目指して活動しています。

■東京工業大学 ロボット研究会HP https://www.rogiken.org/
■東京工業大学 学生ロボコン参加チーム MaquinistaHP https://maquinista.rogiken.org/

【インタビューに答えてくれた方】(2018年9月現在)

谷 晃輔さん(東京工業大学 機械宇宙学科4年)
※写真前列左

『ミスミ学生ものづくり支援』を
利用して

Maquinistaは、普段から『MISUMI-VONA』や『材料屋24』といったサービスを利用するミスミのユーザー。『学生ものづくり支援』も毎年ご応募いただいています。2018年のNHK学生ロボコンの競技においてリーダーを務めた谷さんに、応募の背景をお聞きしました。
「今回の支援で、空圧の継手やクランプなど工具、回路用のコネクターなどの部品を調達・利用しました。支援の選考に通って部品を発注できる時期(1~2月頃)というのは、ロボコン出場に向けて1号機を仕上げ、NHKの第1次ビデオ審査に応募する頃なので、調達した部品は設計・製造に間に合いません。ですから、翌年のロボット製作にも使えそうな長く使える部品や工具を中心にオーダーさせてもらっています」

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「ミスミさんが良いのは、チェックボックスに数値を入力するだけで簡単にオーダーできたり、CADデータをダウンロードできるところ。これにより設計の時間が短縮できます。既製品を利用する場合はミスミさんから調達したほうが効率良いですね。何といってもスピーディーな納品と送料無料は大きなメリット。ちょっとした部品でも気兼ねなく頼めるのは心強いです。」
大会に出場したロボットは役目が終わると解体され、使えそうな部品は再利用されるそうです。特に空圧系の部品は全部取り外し、次のロボットに搭載されます。再利用すればその分コストも抑えられます。プロユースの高品質な部品・工具は、ロボットづくりの精度・品質の向上にも貢献しています。
「ミスミさんの部品は繰り返し利用しています。品質が良く、無茶な使い方にも耐えてくれる(笑)だから廃棄せずに次の年も使えます」

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勝てるロボットは、
どのように作られるか

「勝つために必要なことは、戦略を実現できる高い性能をもったロボットをつくること。速く、正確に動作するロボットをつくるには、実験を重ね、たくさん練習をして、さまざまな調整を行い、最適な方法と機構を形にすることが重要です」(谷さん、以下同様)
Maquinistaは毎年出場する強豪校で、2018年度はベスト8に進出しています。2017年度は初優勝し、ABUアジア・太平洋ロボットコンテストの日本代表として4位という結果を残しました。
学生たちがロボットづくりの技術力や戦略を競う“NHK学生ロボコン”は、毎年8月に新しいルールが発表され、翌年の6月に出場校が集まって大会が開催されます。10か月という限られた時間の中でいかに“勝てるロボット”をつくり上げるか。高いレベルの設計・製作が求められます。

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「手順としては、まずどんなロボットにするか、メンバーが全員でアイデアを出し合い、簡単な実験装置などをつくり始めます。年末から年明けに1号機を完成させて第1次ビデオ審査に応募します」
Maquinistaでは機械班と回路・制御班に分かれてロボットづくりを進められますが、そこには、歴代の先輩たちが築き受け継いできたものづくりのノウハウが活かされています。
「機械班は3D CADを用いてマシンを設計し、加工・組み立てを行います。部材はアルミ材やMDFなどがメインで、アクチュエーターはモーターとエアーシリンダーをよく使用します。マシンを動かすプログラムを作成するのが回路制御班です。実際のロボットづくりは蓄積された技術の応用です。歴代の先輩たちが作ってきた機構や回路などの設計データや開発ノウハウが豊富にあるので、それらを活用したりアップデートしながらより精度の高い部品や高出力のモーターなど開発しています」

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「走る」「つかむ」「投げる」を
より速く、より正確に

2018年のNHK学生ロボコンは2台のロボットを連携させる競技となりました。1台がシャトルコックと呼ばれるひもの付いた玉をもう一台のロボットに渡し、リングに投げ入れ、その先にあるカップに乗せて得点を稼ぎます。
「シャトルコックを投げるロボットはリングに向けて正確に投げられること、運ぶロボットは長い距離を高速に移動し、瞬時にシャトルコックを受け渡しできること、この3点がロボットの開発にあたって設定したコンセプトです。毎回同じ軌道で投げられるようにするには優れた機構と制御技術が求められます」

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学生ロボコンは、コントローラでロボットを操作する手動マシンと、外部からの操作をせずに動く自動マシンがあります。Maquinistaが開発したのは、東京工業大学の自動化技術、制御技術を活かし、ボタンを押せば、ほぼ自動で競技を実行するロボットです。
「走る、つかむ、投げるといった動作を繰り返すため、手動で操作すると時間が掛かってしまいますが、自動化すればより速く、正確な動作が可能です。2018年の競技だと、2台のロボットの間でシャトルコックを受け渡す動作があって、お互いに動いている状態で位置を正確に合わせる技術が求められます。そこで僕たちのロボットは、レーザーを照射させてフィールド内の色や線を読み取り、位置を合わせるセンサーや機構を搭載しました」

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NHK学生ロボコン2018
NHK学生ロボコン2018にて
キャリーイングロボット(手前左手)が
シャトルコックを運搬

マキニスタお手製のシャトルコック
マキニスタお手製のシャトルコック

リングを狙うスローイングロボット
リングを狙うスローイングロボット

ミスミの支援を活用して
練習時間を増やす

どんなに練習しても、本番フィールドではどうしてもトラブルが起きる。だから手際よくリカバリーできる練習が欠かせないと話す谷さん。
練習時間をできるだけ多く確保するためにも、設計・製作時間は短縮したいところ。自分たちで工作機械を使って部品を金属から削り出す加工作業は時間がかかるため、いかに使用する部品点数を少なくするか、例年の課題だそうです。必要な部品の製作を外部に発注すれば効率は上がりますが、予算が限られている状況では限界もあります。
「ミスミさんの“学生ものづくり支援”を利用すれば5万円分の部品の費用と、その分の設計・製作にかける時間を抑えられ、練習時間が増えるので本当に助かりますね」

子どもの頃からロボットが好きで、NHK学生ロボコンに出場したいと思い続けてきた人がMaquinistaには集まってきます。その熱い想いが、日本のロボットづくりを未来に向けて動かしていきます。

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