支援団体インタビュー

2021年度

神奈川大学 宇宙エレベータープロジェクト

KUSEP (Kanagawa University Space Elevator Project)

インタビューイメージ

【活動内容】

「KUSEP (Kanagawa University Space Elevator Project)」は、宇宙エレベーターの実現に向けて、宇宙エレベーターの地上昇降実験機と地上降下型ロボットの設計・製作および宇宙エレベーターの広報活動を行っています。

■KUSEP公式HP
http://space-ev.kanagawa-u.ac.jp/project/KUSEP/

【インタビューに答えてくれた方】(2022年3月現在)

柳林 愛夢さん(プロジェクトリーダー/ 神奈川大学 工学部機械工学科2年)
長谷川 璃奈さん(設計担当/神奈川大学 工学部機械工学科1年)
居川 昇陽さん(電気・制御担当/神奈川大学 工学部電気電子情報工学科1年)

『ミスミ学生ものづくり支援』を
利用して

今回は、宇宙エレベーターの実現のため、実験機や関連するロボット製作に挑戦しているKUSEPのプロジェクトリーダーの柳林さん、設計担当の長谷川さん、電気・制御担当の居川さんにお話を伺いました。

今回ミスミ学生ものづくり支援では、電流センサを支援していただきました。今までクライマーと呼ばれる昇降機を動かす際に、電流を計測せずに実験を行っていましたが、電流センサを導入することで、動作のスピードアップや高効率化に向けた電流管理が可能となります。

ミスミのECサイトは、ラインナップや技術資料がとても豊富なので、ものづくり初心者でもわかりやすく、機器の選定がしやすくとても助かっています。また注文した部品等を短期間で届けてくださるので、製作期間の短縮にも繋がっています。

インタビューイメージクライマーに流れる電流を
計測するためのセンサ

インタビューイメージ昇降距離を計測するための
ロータリエンコーダや軸の固定に
使用しているメカロックなど

宇宙エレベーター実現にかかせない、
クライマー製作

現在の地上・宇宙間の輸送手段はロケットのみですが、より気軽に宇宙へ行く手段として近年、特に注目されているのが「宇宙エレベーター」です。私たち「KUSEP (Kanagawa University Space Elevator Project)」は2008年に、大学の研究室に所属していない学生でも宇宙エレベーターの開発に関われるよう設立されました。神奈川大学の学生ならば、学部問わず1年生から大学院生まで誰でも参加でき、現在は14名で活動しています。

インタビューイメージKUSEP製作によるクライマー(昇降実験機)
上空から垂直に張られたベルト状の走路を100km/h以上で昇降します

宇宙エレベーターは、「エレベーター」と言ってもマンションやオフィスにあるものとは全く違う構造をしていて、地球の周りにある「静止軌道」を周る人工衛星と地球をテザーと呼ばれるロープで結び、 そのテザーを「クライマー」と呼ばれる昇降機が宇宙へと昇っていく仕組みです。

宇宙エレベーター建設に向けて、企業や専門機関などでテザー素材となるカーボンナノチューブなどが研究されていますが、昇降機がなくては宇宙に行くことはできません。そこで私たちはクライマーと呼ばれる「自走式昇降機」の基礎技術研究を行っています。クライマーは重力に逆らって垂直に昇降する技術が必要となり、これらはまだ実用化されていません。私たちは特にその基礎技術の開発に注力しています。

製作した機体は毎年夏頃に行われる「宇宙エレベーターチャレンジSPEC×ROC」に出場しています。SPEC×ROC(SPace Elevator Climber & RObotics Challenge)とは宇宙エレベーター協会が主催するクライマーの合同昇降実験競技会「SPEC」と、地上基地建設のためのロボット性能評価競技会である「ROC」を連携させた複合競技会です。

宇宙エレベーターに用いられる昇降機の実験は100~1000m上空に向けて垂直に走路を作り、クライマーを昇らせるという特殊な環境で行われます。大学の実験環境と大会本番では環境も大きく異なるため、環境に合わせて機体の上昇する加速度やローラーの接地圧などを調整しないと、機体が全く登らないことや破損してしまうこともあり、とても難しい点です。

インタビューイメージ宇宙エレベーター構想図

インタビューイメージ宇宙エレベーターチャレンジ
SPEC×ROCでのクライマー実験

クライマーにはスピードとパワーバランスや高い耐久性、安全性が必要になり、垂直にクライマーを上らせるためは軽量化がスピードを上げることにカギとなります。しかし軽量化すると強度が落ちてしまうので、強度と軽量化のバランスを考えることが難しく、思考錯誤しながらチームで連携し研究開発を進めています。今回ご支援いただいた電流センサを用いることで、これまでのトライアンドエラーを行ってきた設計ではなく、データ解析をしながら機体の限界に挑戦する設計を行うことができると考えています。

また、大会運営補助などにも積極的に参加するほか、宇宙エレベーターを多くの方に知っていただくために学内外のイベントで実演展示なども行っています。

インタビューイメージ宇宙エレベーターチャレンジSPEC×ROCでのクライマー実験

ものづくりを通じて
チームで協力することの楽しさを知りました

宇宙エレベータープロジェクトに入る以前は、電子回路の製作やプログラミングなどを勉強していましたが、入部してからは今まであまり触れてこなかった機械系の分野にも関わるようになりました。そのおかげで、機械設計などの新しい技術を身につけることができ、チームで協力しながら物を作る楽しさを知ることができました。今後も向上心を持ち、「できること」をさらに増やしていきたいと思っています。

インタビューイメージ
インタビューにお答えいただいたKUSEP 長谷川さん、柳林さん、居川さん(左から)

最後に、「ミスミ学生ものづくり支援」と「ものづくりに取り組む学生のみなさん」へ
メッセージをいただきましたのでご紹介します。

この度はご支援いただき誠にありがとうございます。ミスミでしか手に入れることができない部品も多くあり、ご支援いただけるおかげで私たちはよりよい物を製作できています。コロナ禍により活動の制限がされている団体もあると思いますが、それぞれの目標に向けともに精一杯頑張りましょう!

インタビューイメージ

インタビューイメージ

製作現場の様子