支援団体インタビュー

2010年度

工学院大学

ソーラーカープロジェクト

【インタビューに答えてくれた方々】

仲川 裕朗さん(機械工学専攻M2、リーダー、エレ担当)
張田 雅建さん(機械工学専攻M2、メカニック担当)
中山 明弘さん(機械工学専攻M2、ドライバー担当)
成澤 寛人さん(機械工学専攻M1、ドライバー担当)
平間 雄輔さん(機械工学専攻M2、データ担当)
熊谷 権也さん(機械工学専攻M1、マネージャー)

工学院大学ソーラーカープロジェクトは、「人間を犠牲にしない安全な車両と実用性」というソーラーカーの分野では非常にユニークなコンセプトで設計・製作に取り組んでいます。また、技術面でも世界初で炭素繊維強化プラスチックとフォームコア製のボディを採用する等、様々な課題に挑戦しています。
2011年9月上旬に開催されたワールド・グリーン・チャレンジでソーラーカー部門チャレンジ・クラスの第2位に入賞したとの報告を受け、活動場所である八王子キャンパスにインタビューに伺いました。

工学院大学 ソーラーカープロジェクト

チーム紹介・マシンの特徴

ミスミ:リーダーの仲川さん、まずはチームの紹介をお願いします。
仲川さん:現在のメンバーは、19人です。毎年、ワールド・グリーン・チャレンジというソーラーカーの大会に出場しています。3日間通しての周回数を競う大会で、今年8月の大会では36周(1周25km)を走り、ソーラーカー部門チャレンジ・クラスの第2位になりました。トータル25時間近く走りました。

ミスミ:結構、ハードな大会ですね。工学院大学のソーラーカーの特徴を教えてください。
仲川さん:まずは、外観が一目瞭然で違います。他のソーラーカーのように細くありません。コンセプトとしては、実用性を一番重視していて、人間が乗りやすいように車体設計の時から考えました。また、四輪かつ、重心が低いことで安定性を確保しています。他のチームの車体は、タイヤの上に機体があるので重心が高く、三輪なのでバランスがあまりよくないと考えています。

ミスミ:それは造ったり、改良したり、していく上で大変でしたか?
張田さん:他のソーラーカーを造ったことがないので、よくわからない。(一同:笑) 車体がカーボン製とは言え、他のチームより重たいので、強度の面では他のチームのノウハウが使えないことに困りました。
仲川さん:車体が頑丈なので、タイヤがパンクして地面にぶつかっても壊れたりすることはないです。その点でも安全性は高いです。去年の大会では、タイヤがパンクして、機構部品ごと中に持ち上げられて、車体の下が地面に擦れたことがありましたが、裏がギザギザになる程度で済みました。
張田さん:他チームだと車体が吹き飛ぶか、割れてしまったと思います。

ソーラーパネル

ミスミ:先ほどソーラーカーを拝見しましたが、ドライバーは座って運転をする仕様になっていますね。
張田さん:普通の車に近づけたソーラーカーです。普通のソーラーカーは車体も2x9mと細長く、普通の車庫には入りません。その点、うちのマシンは2x4mで普通の車庫に入ります。

ミスミ:ドライバーの乗り心地はどうですか?
成澤さん・仲川さん:変わらないです。ちょっと暑いだけ(笑)今年は空気穴をあけたので、だいぶましになりました。去年は地獄でした。

前回大会への取り組み

ミスミ:前年からの設計の変更ポイントは?
張田さん:サイドブレーキ、ブレーキペダル、アクセルの部品を作り直したり、改良したりしました。サイドブレーキは負荷がかかりすぎてフレームが曲がっていたので、軽量化も考えつつ、負荷がかかっても耐えられるようにしました。ブレーキペダルは去年のものが、ごつくて頑丈だったので強度計算などを行って、軽くしました。「かっこよくて、軽くて、丈夫に」という3点を満たすのは難しいのですが、2ヶ月間の設計期間で、昨年度比1kg軽量化できました。

ミスミ:今年度のソーラーカープロジェクトで苦労した点は?
張田さん:メカニック班は、タイヤのはめ込みが大変でした。タイヤのゴムがホイールに対してぎりぎりで、ぜんぜん入りませんでした。去年何度もパンクをしたので、今年は大会中も1日ごとにタイヤを交換しました。マシンが戻ってきて、整備をしてから、その作業をしないといけないので、体力的に疲れました。

作業の様子

ミスミ:毎日、四輪分の作業が必要だったわけですよね?
張田さん:掛け声をかけながらやりました(笑)その甲斐あって、今年はパンクは一切ありませんでした。
仲川さん:エレクトロニクス班は、モーターを駆動するためのインバーターが大会1週間前に壊れたので、焦りました。予備のインバーターをメーカーに貸してもらいました。
平間さん:データ班は、ソーラーカーは天気との勝負で、発電量が安定しないことに苦労しました。発電量のピーク値を予め出しておき、太陽の角度から発電量の予測値を算出するのですが、実際はそんなに発電しません。0.7倍くらいと低め。あと、コースが広いので、コース内でも天気が変わります。それも考えながら、ドライバーに指示を出したりするのが大変でした。

インタビュー風景

ミスミ:25kmのコースは結構、広いですね。
仲川さん:なので、行ってから戻ってくるまでに30分くらいかかります。ピットで待っています。前を通る一瞬だけ、ワーと盛り上がります(笑)
成澤さん:コースが広いので、スコールが降って、前が見えないと思ったら、次は晴れてきたり。1周する間に、天気がころころ変わりました。

ミスミ:ドライバーで難しかったところは?
成澤さん:発電量を見ながら、アクセルを調節することが重要になってくるのと、後は体力です。消耗が激しい。
中山さん:アクセルの調節は、追い風と向かい風でも全然違ってきます。
張田さん:うちのマシン、厚いからね。風をもろに受けます。
成澤さん:ブレーキの踏み方でも、消費量が若干違ってきます。
中山さん:基本的にはブレーキは使わず、回生ブレーキだけで1周回ります。
張田さん:一回ブレーキを踏むとブレーキパッドが噛んでしまって、その後パッドが離れず、若干エネルギー消費量が上がっていました。なので、なるべくブレーキは使わないようにする必要がありました。
成澤さん:コースの両端と2つの橋に速度制限があるので、ドライバーは回生ブレーキをどこでかければ、ぎりぎりの速度に落とせるなどは考えていました。違反するとマイナス2周です。

車体内部、ブレーキ

今後の目標

ミスミ:最後に、今後の工学院大学のソーラーカープロジェクト目標を教えてください。
仲川さん:このプロジェクトの最終目標は、オーストラリアでの世界大会での優勝です。現在の車体は重く、多くの電力を使ってしまうので、車体を一から作り直そうという話が出ています。現在の車体で秋田の大会の2位を取れたので、早いマシンを作ればさらに上を目指せると思っています。
平間さん:空気抵抗を減らす設計も60kmで走る車体と100㎞で走る車体は違いますし、それをもとにデータ班も準備をする必要があります。
張田さん:車体の形から何から、変わってくると思います。
仲川さん:世界大会は電池の重さも25kgまで搭載可能になるので、その開発も必要です。ソーラーパネルもレース仕様用に、改良する必要があるかもしれません。

ミスミ:M2の方は卒業ですね?
仲川さん:はい、M1に引き継ぎます。webカメラなど、遠くから見守ります。
張田さん:社会人1年目は休みも取りづらそうなので、来年の大会は応援に行けないかも…。

ミスミ:本日は、長い時間ありがとうございました。

インタビュー風景

インタビューを終えて

安全性、実用性というソーラーカーの中ではユニークな設計思想を持った工学院大学ソーラーカープロジェクトでした。最先端の技術を採用しながらも、大会中に毎日タイヤ交換を行うなどの地道な努力を積み重ねていたことがとても印象的でした。また、皆さんが同じ研究室に所属していることもあり、とても仲が良い雰囲気でした。来年はM2の方はエンジニアとしての第一歩を、M1の方は世界大会の出場と優勝に向けてがんばってください!

工学院大学ソーラーカープロジェクト ホームページ
http://www.ns.kogakuin.ac.jp/~wws1034/

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