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インタビュー

第35回大会 ミスミ賞

ナハトムジーク 神戸市立科学技術高等学校

  • 中村 陽太朗(なかむら ようたろう)さん
  • 土井 秀真(どい ほつま)さん
  • 壱岐 梓(いき あずさ)さん
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ロボットづくりに出会って、
将来やりたいことが明確になった。

毎回ハイレベルな二足歩行ロボットを製作し、大学生や社会人と名勝負を繰り広げている神戸市立科学技術高等学校「機械工作部ROBO」。今回、同校が10体をエントリーするなか、「ナハトムジーク」をつくられた中村さん、土井さん、壱岐さんに、その醍醐味や将来の夢などについてお聞きしました。

高校でロボットと出会い、興味を抱く

皆さん、高校入学後すぐに「機械工作部ROBO」に入部されたそうですが、昔からロボットづくりに興味があったのですか。

中村さん: いえ、中学生の時はまったくありませんでした。勉強もあまり好きなほうではなく、高校選びも消極的でした。でも中学3年生の夏に、高校の見学会で、「機械工作部ROBO」の人型ロボットや4足歩行のゴミ箱ロボット、それに目を輝かせて操縦している先輩たちの姿を見て、とてもいいな、かっこいい、と。絶対にこの高校に入って、入部しようと決めました。

ナハトムジーク

  • Concept

    西洋のよろい

  • Record

    第35回ROBO-ONE 決勝トーナメント出場

  • Weight

    2.9kg

  • Height

    50cm

  • Axis

    サーボモーター19軸

土井さん: 僕も、中学時代は趣味も好きなこともあまりなかったのですが、高校に入ってから「機械工作部ROBO」の活動を見て、「こんなにロボットは発達しているのか」と興味を持ちました。体験入部をしたら、先輩たちがとても優しく指導してくれ、ステキだなと。「ものづくりの前に人づくり」をテーマにしていることにもひかれて入部しました。

壱岐さん: 小学生の頃からラジコンカーやプラモデルづくりが好きで、高校に入ったら、ものづくりに関係する部活をやろうと思っていました。どこにしようか迷っていましたが、部活紹介で、二足歩行ロボットが格闘技をしている姿にすごく感動したのです。自動車修理の仕事をしている父も「二足歩行で、これだけ安定感を出せるのはすごい」と感心していて、ますますやりたいと思いました。

中村 陽太朗さん、土井 秀真さん、壱岐 梓さん

設計から操縦まですべて自分たちで行い、動いた時の達成感はひとしお

入部当初は、ロボットに関してまったくの素人だったのですね。

中村さん: はい。ただ、体験入部の時からCADを触らせてもらえましたし、本入部してからは、先輩が丁寧に教えてくださったので、1年生で基本的なつくり方を身に付けることができました。

壱岐さん: 2年生からは3人1組でチームを組み、自分たちのロボットをつくり始めました。設計からプログラミング、操縦まで、すべて自分たちで行っています。

土井さん: 役割は、設計と操縦は中村、モーション(動作)は僕、機体の加工は壱岐、と皆で分担しました。

それで誕生したのが「ナハトムジーク」ですね。どのようなイメージでつくられたのですか?

中村さん: 「西洋のよろい」です。手をハサミ型やヘラ型にすることも考えたのですが、今回の大会では予選種目が床運動になり倒立をする必要があったのと、できるだけ人の形に近づけたかった。また、一発必中のストレートパンチを打ち出せるようにしたかったので、手をパンチ型にしました。

ゼロからつくるとなると、苦労されたのではないですか。

土井さん: やはり倒立や回転のモーションをつくるのは難しかったですね。3人で相談しながら、試行錯誤してつくり上げました。

壱岐さん: 西洋の鎧をイメージしたフレームをつくるのも、すごく時間がかかりました。アルミ素材をベンダーで曲げて加工したのですが、角度的に調整するのが難しかった。

中村さん: 平日も夜遅くまで、土日もロボットづくりに費やす日々でしたが、機体が組み上がって、うまく動いた時の達成感は大きかったですね。

土井さん: 実際にパンチや倒立ができた時には、「おー、できた!」と嬉しかったです。

本番でも予選を突破し、決勝トーナメントでも優勝候補に善戦しました。

中村さん: 僕たち3人の頑張りだけでなく、全部員39人のチームワークのおかげです。他の部員のロボットに刺激を受け、お互いに競い合いつつ、皆で情報を共有して、一丸となりやってきました。

土井さん: 僕たち高校生は、個人プレーだと大人に勝てません。だから、チームワークによって、なんとかして大人に勝ちたいと思っています。

壱岐さん: 僕たちの強みである「団結力」を生かして、次の大会も頑張りたいです。

ロボットと出会い、将来やっていきたいことが明確に

好きなものがなかった、という話がありましたが、二足歩行ロボットづくりに打ち込むことで、何か見つかりましたか?

土井さん: はい。ロボットづくりは本当に楽しいです。ロボットをきっかけに、将来は工業の道に進みたいと考えるようになりました。

壱岐さん: 僕も、毎日部活に行くのが楽しいです。また、ロボットをつくればつくるほど、モーション1つとっても、奥が深いと感じる。高校を卒業した後は大学に進学し、さらにロボットづくりを追求していきたいと思っています。

中村さん: 中学時代から、子どもの教育に携わる職業につきたいとぼんやりと思っていたのですが、この部活で、ロボットの楽しさと共に、人間性を高める大切さを学んだことで、教育を明確にやりたいと考えるようになりました。いずれは、子どもたちに工業の楽しさを伝える仕事をしたいと思っています。また、ロボットに対して難しそうだと考えている方が多い気がするので、もっと生活にロボットを浸透させられれば、という気持ちもあります。

土井さん: 今、二足歩行ロボット以外にも、ゴミ箱ロボットのようなアイデアロボットもつくっているので、こちらも一生懸命やりたいと思っています。アイデアロボットを発展させて後輩たちに継承していけば、何か貢献できるのではないかと考えています。

最後に、ミスミ賞受賞の感想をお聞かせください。

壱岐さん: 今回、ミスミ賞という栄誉ある賞をいただき、ロボット作りの楽しさや達成感を改めて感じる事ができました。これからも、ものづくりに懸ける情熱だけは誰にも負けないよう、日々精進していきたいと思います。

土井さん: 僕達のロボットをより美しくかっこよく撮って頂き、ナハトムジークの特徴である鎧がより一層輝いて見えました。これからもROBO-ONEの会場で、より一層存在感を放つロボットを制作していきたいです。

中村さん: インタビューや撮影など、初めての事ばかりで、高校生ではできないような経験をさせていただきました。これからも部員みんなでより良いロボットを作っていこうと思います。本当にありがとうございました。

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