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第35回大会 ミスミ賞

LUMINOUSルミナス 立命館大学ロボット技術研究会 sachito

  • 伊藤 巧(いとう たくみ)さん
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機体だけでなく、自分も強くならなければ
ROBO-ONEの舞台では勝ち進めない。

ROBO-ONEの醍醐味の1つは、設計から加工、操縦まで、自分が持てるさまざまな能力を発揮して勝負に挑めること。過去にも大会に参加経験がある、立命館大学ロボット技術研究会の伊藤巧さんは、これまでとはまったく異なる設計思想の機体「LUMINOUS」でエントリー。ゼロからの挑戦の背景にあったエピソードを伺いました。

「自分の成長につながる」と思い門戸を叩く

伊藤さんは、立命館大学の3回生で、ロボット技術研究会に所属されています。ロボットづくりは大学に入ってから始められたのですか?

伊藤さん: はい、そうです。将来、機械メーカーに勤めたいと思い、理工学部のロボティクス学科に入学したので、せっかくなら、部活でもロボットに関わることをやろうと考えました。いろいろな選択肢があったのですが、ロボット技術研究会を選んだのは、「アニメで出てくるような、かっこいい二足歩行ロボットがつくれる」と思ったからです。また、「入部後すぐに自分のロボットがつくれ、自らの成長につながる」とも感じました。

LUMINOUS(ルミナス)

  • Concept

    アニメの世界が現実化したロボット

  • Record

    第35回ROBO-ONE 予選出場

  • Weight

    2.9㎏

  • Height

    43cm

  • Axis

    サーボモーター23軸

実際に入られてどうでしたか?

伊藤さん: 入部当時はロボットについて何も分からなかったのですが、先輩がいろいろ教えてくれますし、1回生の頃から練習用の機体で大会にも出られたので、どんどん楽しくなっていきました。1回生の6月ぐらいからは、毎日22時頃まで、部室に入り浸るようになりました。

さっそくのめり込まれたのですね。

伊藤さん: やはりROBO-ONEのような大会があると、ものすごくモチベーションが上がりますよね。さらに、2回生になると、自分ひとりで大型のロボットを設計し、フレームを加工して、組み上げていけるようになりました。着々と完成に近づいていくだけでも達成感がありますし、それが設計通り動いた時の喜びは格別です。
3回生になると後輩ができ、教える立場になったのですが、後輩が自分より強い機体をつくることもあり、負けていられません。思いついたアイデアをすぐに形にしたいので、今も毎日、夜遅くまで部室にいる生活を送っています。

伊藤 巧さん

似たものをつくっても面白くない、と別のスタイルに挑む

今回の「LUMINOUS」は、これまで出場したものとは異なるコンセプトの機体だそうですが、白銀のボディと青く光る目がスマートです。

伊藤さん: ありがとうございます。ロボット技術研究会では、先輩の技術が代々受け継がれていくのですが、そのままマネするだけだと、先輩と似たようなロボットになります。それじゃ面白くないので、できる限り別のスタイルのロボットをつくりたいと思いました。そこで「LUMINOUS」は、ゼロから設計し直し、オリジナリティを加えていきました。

どのようなコンセプトでつくられたのですか。

伊藤さん: 最も重視しているのは、自分の戦い方のスタイルに合う「防御力の高さ」なのですが、今回はそれに加えて、複雑な動作ができる設計にしました。具体的には、肩の軸を3軸に増やし、手先をグリッパー(ハサミ型)にして、相手をつかんだり、倒立したりできるようにしました。投資も惜しまず、結構つぎ込みました。

これまでと異なるロボットをつくるのは大変だったのでは?

伊藤さん: はい。ゼロから設計したのは良いのですが、自分が意図した通りの動きができなかったり、加工の難易度が高くなったり……。「なんでこんな難しい設計にしたのか」と自分を呪いました(笑)。大会直前は泊まり込みで制作し、なんとか間に合わせました。
ただ、残念ながら、今回の大会では予選落ちしてしまいました。ロボット自体のできは良く、倒立や回転などのモーションに問題はなかったのですが、試技の順番を間違ってしまいまして……。テンパって、途中で時間切れになってしまったのです。

高い完成度の機体だっただけに、悔やまれます。

伊藤さん: 自分としては納得がいく結果ではありませんでしたが、数多くロボットがあるにも関わらず、ミスミ賞をいただけたことは非常にうれしく思っています。今回痛感したのは、ROBO-ONEで勝つにはメンタルの強さも必要だということです。機体の完成度に目が行きがちですが、自分自身も成長しないといけないと思いました。

次の開催は2月です。

伊藤さん: はい。今回のLUMINOUSはプロトタイプ。機体も自分ももっとグレードアップして、次回大会に臨むつもりです。

人と共存し、愛着を持たれるロボットをつくりたい

来年は4回生ですが、この先も、ロボットづくりを続けていかれるのでしょうか。

伊藤さん: はい。学校の授業でも部活でもロボットに触れていることで、自分なりにこんなロボットをつくりたいという気持ちが強くなってきました。一言でいえば、「人と共存し、人から愛着を持たれるロボット」をつくりたい。自宅で、人間のそばで共同作業できるようなロボットがあれば良いと思っています。
そのためにも、まずは大学の研究室に入って、ロボットの研究をしていきたいと考えています。人間より大きなロボットを動かしたり、ヘビ型のロボットをつくっていたり、と魅力的な研究室がたくさんあるので、どの研究室に入ろうか悩んでいる最中です。自分を成長させられるよう、研究室でも部活でも精進していきたいと思います。

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