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第34回大会 ミスミ賞

REDUCTIONリダクション 芝浦工業大学SRDC

  • 小澤 湖太郎(おざわ こたろう)さん
  • 中俣 太一(なかまた たいち)さん
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軽量化」にこだわったエース機

REDUCTIONの特徴

REDUCTIONはどういったコンセプトで作られたのでしょうか?

小澤さん: 機体のコンセプトは「機動力」です。瞬発力に特化した機体を作りたくて、自分からガンガン攻撃するような機体を目指しました。足にトルクの強いサーボを積んで、なおかつ上半身にもサーボを増やすために軽量化を徹底したのがこの機体ですね。個人的には後ろ姿がいちばん気に入ってるんです。前から見るとあまり目立たないんですけど。

色々なパーツの肉抜きが凄いですね。

小澤さん: そうですね。徹底して頑張りました。素材はA2017のジュラルミンで、部活にあるCNCフライス*1で加工しています。部品単体だとあまり強くないんですけど、組み上げた状態でなるべく強度を持つように工夫しました。

構造計算は行っていますか?

小澤さん: そうですね。不安なところはなるべく行いました。もともと2mmの板で作っていた腕は今3mmの板なんですけど、前の部品はねじれてしまったんです。今回は剛性を考えて3mmにして、なおかつ重量は軽くなるように断面性能の計算をして製作しました。

他にこだわった部分はありますか?

小澤さん: いちばんは顔ですかね。機能がないんですけど、積まなきゃ気が済まなかったので。なるべく格好良くなるように作りました。やっぱり(自分が操縦する)ロボットには顔が欲しいです。顔のLEDは色が何種類かあって、相手によってモードを切り替えたことがわかったりします。

REDUCTION(リダクション)

  • Record

    第34回 ROBO-ONE ベスト16

  • Weight

    2.99kg

  • Height

    49.6cm

  • Axis

    サーボモーター21軸

*1 CNCフライス: エンドミルとテーブルの移動がコンピュータで制御された切削加工機械。

「機体が評価されたことが嬉しい」

「芝浦工業大学SRDC」はどんな活動をしていますか?

中俣さん: SRDCはROBO-ONEなどの二足班と、かわさきロボット班、マイクロマウス班があります。二足班はだいたい20人くらいで活動しています。

お2人の役割は

中俣さん: 前々回の大会あたりから操縦を担当しています。あとは故障したときに部品を交換したりとか、軽い電装をしたりとかですね。

小澤さん: 設計を担当しました。自分が操縦もやっていたんですけど、色々都合が悪くて出られない大会があって、その時に任せたらなかなかいい結果を残して、認定権を獲ってしまったので、そのままです。どうせなら……とは思いますが、設計者としては、機体が評価されただけで嬉しいです。

中俣さん: だいたい先輩が出られなくて僕が代わりに操縦するってことが多かったので、部活内の機体、ほとんど動かしたことあるんですよ。今回、REDUCTIONを動かせるって聞いて、誰もいないのだったら絶対やる、って担当させてもらいました。

SRDCの中ではこれがエース機なのでしょうか?

小澤さん: いちばんカッチリしてるのはこの機体ですね。

今大会に臨んでREDUCTIONは改良しましたか?

小澤さん: 腰を回転する軸なんですが、もともとの構造ではサーボへの負荷が大きくてギヤが欠けたり軸が折れたりしたので、ワッシャーなどを複数重ねて作り替えました。

中俣さん: 今までSRDCの機体はほとんど「大技」*2を持っていなかったのですが、最近の上位陣見ると、ほとんど「大技」を持っているじゃないですか。この機体はSRDCで初めて大技を出せる機体なんです。

小澤さん: 壊れやすいからって言うのと、無くても何とかなっていたというのがありましたね。大技の導入も、この腰を改良したおかげです。これがなかったら腰が折れちゃいます。この構造になってからは下半身は1度も壊れてません。最大効率を目指して軽量化した設計がきちんと成立してたって証明になったかなと思います。下半身はもうちょっと軽量化できたかな、とすら思います。

操縦担当としてはいかがですか?

中俣さん: 去年ROBO-ONEに出たときは、けっこう足の遅い機体だったので、やっぱ回り込まれちゃったり、すぐ反応できなかったりしました。今のREDUCTIONの反応の速さはすごく助かっています。

中俣 太一さん

*2 大技: 相手が宙を舞う投げ技や、華麗なハイキックなどの観客を魅了する技で、決まれば1度に2ダウンを奪える。

この先のものづくりについて

中俣さんは機体を製作されないのですか?

小澤さん: 個人的には、去年から設計のデータとか、自分の技術を極力部活に残すようにしていたので、ぜひ頑張って欲しいですね。

中俣さん: 自分で作るときも速い機体がいいと思いますけど、REDUCTIONみたいには無理かな。(小澤さんは)部活の中でいちばん技術を持っている人なので、学ぶところは色々あります。頑張ります。

将来的に作ってみたいものはありますか?

小澤さん: 僕はこの機体を作っていて、「この重量で何とかしろ」みたいな、そういう制限の中で挑戦するのが好きだなって思いました。特に軽量化がすごく楽しく感じました。飛行機とかの乗り物系は重量制限が厳しいので、そういうギリギリの突き詰めた設計みたいな、そういうところで働けたらなと考えてます。

中俣さん: 僕は逆に、今の開発は重量の制限など色々と制約があるので、むしろ配線を全部隠せるカバーとか付けて、一家に1台みたいな感じの市販のロボットが出来ればと思っています。ドラえもんとかをおばあちゃんにもらって見た世代なんで。

小澤 湖太郎さん

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