支援団体インタビュー

2024年度

学校法人智香寺学園埼玉工業大学 ロボット研究プロジェクト

ロボ研

インタビューイメージ

【活動内容】

二足歩行ロボットの格闘競技世界大会であるROBO-ONE Lightでの優勝を目指し、日々ロボットの改造・プログラミングを行っています。

■学校法人智香寺学園埼玉工業大学HP
https://www.sit.ac.jp/gakuseiseikatsu/gakuseiproject/progress-project/#efd99e30

【インタビューに答えてくれた方】(2025年6月現在)

富井 健斗さん(プロジェクト代表/埼玉工業大学 工学部機械工学科 ロボット・スマート機械専攻 3年)
増子 春翔さん(プロジェクト会計/埼玉工業大学 工学部機械工学科 ロボット・スマート機械専攻 3年)

世界を舞台にした挑戦―技術と情熱で挑むロボット格闘競技

二足歩行ロボット格闘競技の世界大会「ROBO-ONE Light」での優勝を目指して活動している埼玉工業大学ロボット研究プロジェクト。今回は、この挑戦的な取り組みを推進する富井健斗さん、増子春翔さんにお話を伺いました。

埼玉工業大学ロボット研究プロジェクトは、二足歩行ロボット格闘競技の世界大会「ROBO-ONE Light」での優勝を目指して活動しています。このプロジェクトでは、ロボットの製作や改造、プログラミングによるモーション作成を通じて、国際的な競技で通用するロボットの開発に取り組んでいます。

また、地域のイベントでロボット操縦体験会を開催し、ロボット競技の楽しさ・魅力を広める活動も行っています。

※ROBO-ONE Lightは、軽量級二足歩行ロボットによる3分1ラウンド3ノックダウン制の格闘競技で、初心者から熟練者まで幅広い参加者が競い合う大会です。

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機転を効かせた選択が生む、価値ある成果

「ミスミ学生ものづくり支援」では造形物の品質が高く、印刷速度も速いeufy Make M5 3Dプリンター(旧Anker Make M5 3Dプリンター)を注文しました。3Dプリンターで成形したパーツは非常に壊れやすく、活動中はかなりの頻度でパーツ交換を行っています。

形成したパーツを使用したロボットの多くは、主要な構成部品が樹脂で作られています。このため、特に荷重や衝撃が頻繁にかかる足の部分が歪みやすくなり、これが原因でロボットの重心が不安定になっていました。その結果、直進が斜め移動に変わってしまったり、攻撃の軸がブレてしまい、強力な攻撃が出せなくなる問題が生じていました。

この問題を解決するために、足のパーツを剛性の高いカーボンファイバー製に変更しました。カーボンファイバーは、樹脂に比べてはるかに高い強度と軽量性を兼ね備えており、これにより、足のパーツの歪みが大幅に軽減されました。また、カーボンの特性を最大限に活かせるように、設計も見直し、加工のしやすさと強度のバランスを考慮した新しいデザインを導入しました。

改良の結果として、ロボットの重心は以前よりも安定し、直進性能が向上しました。また、攻撃時のブレも抑えられ、より素早く・より力強い攻撃が可能になりました。このような技術的改善は、競技でのパフォーマンス向上につながるだけでなく、ロボット全体の耐久性と信頼性の向上にもつながっています。

インタビューイメージ左:SONIA 右:Deviant 緑色のパーツ部分が本支援の商品で製作した部分
インタビューイメージ2025年3月8、9日に開催されたROBO-ONE Lightの様子

受け継いだ技術を超え、新たな挑戦で描く未来のビジョン

現在のロボットの多くは、公認ロボットや公開されている設計データを基に改良を重ねています。構想や設計が得意なメンバーの力を存分に発揮してもらい、プロジェクト全体の技術力を向上させ、自分たちの力で設計・製作することで、やりたい動きや試合展開を実現できるようになると考えており、今後は1から設計したロボットをさらに増やしていくことにも注力していきます。

私たちの団体は、結成から今年で9年目を迎えます。これまで、ロボットや設備は先輩たちから受け継いできたものが中心でしたが、現状維持に陥ることなく、さらなる成長を目指し、「今までよりも良いものを作りたい」という共通の想いを団体全体で共有し、活動に取り組んでいます。

この想いを未来にも引き継ぎ、各自が自ら課題を見つけ出し、周囲を巻き込みながら解決に導ける団体へと成長していきたいです。

インタビューイメージ

最後に、「ミスミ学生ものづくり支援」と「ものづくりに取り組む学生のみなさん」への
メッセージをお願いします。

この度は『ミスミ学生ものづくり支援』特別支援枠に選出いただき、ありがとうございました。おかげで、ロボットの製作や設計変更の効率が大きく向上しました。普段の設計ではミスミのサイトからダウンロードできるCADデータをよく活用しています。さまざまなメーカーの装置やパーツのCADデータを比較できるので、とても便利で重宝しています。

ものづくりには失敗が付き物です。重要なのは、『失敗しないこと』ではなく『同じ失敗を繰り返さないこと』です。失敗の原因と対策を考え、複数人で議論することで失敗を繰り返さないためのノウハウを蓄積し、より良い成果物を作り出すための土台を作ることが大切です。皆さんも失敗を恐れず、どんどんチャレンジし、自分たちだけの土台を作っていきましょう!

ミスミ学生ものづくり
支援担当より

埼玉工業大学ロボット研究プロジェクトは、技術の継承と革新を通じて、世界に通用するロボット開発に挑戦し続けています。彼らの情熱と技術力は、次世代のロボット技術者を育成する貴重な取り組みとなっています。