支援団体インタビュー

2024年度

鹿児島工業高等専門学校 高専ガチャランド

ガチャランド

インタビューイメージ

【活動内容】

高さ2mの巨大ガチャガチャを手作りし、地域イベントで技術の面白さを伝えるPR活動を行っています。

【インタビューに答えてくれた方】(2025年6月現在)

河上 紘聖さん(代表/鹿児島高専 電子制御工学科 5年)
有村 春汰さん(鹿児島高専 電子制御工学科 5年)
柴垣 澪さん(鹿児島高専 電子制御工学科 5年)
山田 大翔さん(鹿児島高専 電子制御工学科 5年)

地域とつながる、巨大ガチャガチャの挑戦―技術で生み出す笑顔の輪

地域の人々とつながる場を創出する活動を行っている鹿児島工業高等専門学校の「高専ガチャランド」。今回は、この画期的な取り組みを推進する河上紘聖さん、有村春汰さん、柴垣澪さん、山田大翔さんにお話を伺いました。

高専で学んだ設計・製作技術を活かし、地域の子どもたちや保護者に「機械って面白い!」と感じてもらうことを目指して、「高さ2mの手作り巨大ガチャガチャ」を開発しました。現在使用している機体は3代目で、ミスミ製の軸やアルミフレーム、板材を使い、頑丈さと安全性を確保しつつ、技術への興味を引き出せるよう内部の仕組みが見える構造にするなどの工夫も加えました。

初めての出店は高専祭(文化祭)でした。来場者の反応が良く、地元の夏祭り関係者の目に留まったことをきっかけに、活動の場が広がりました。現在では鹿児島県内の夏祭り、バザー、音楽フェス、小学校など、さまざまなイベントに出店しています。

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技術と工夫で乗り越えた課題

製作面で特に苦労したのは、高さ2mという巨大サイズをいかに安全かつ安定して動作させるかという点でした。見た目のインパクトは大きい反面、構造的なバランスを取るのが難しく、初期の段階では回転部が重すぎてスムーズに動かないこともありました。そこで、ミスミの高精度な軸や高専のレーザー加工技術、さらに支援でいただいた3Dプリンターを活用し、負荷を分散できるように設計を見直しました。CADを使って細部までシミュレーションを重ねることで、無駄のない構造に仕上げることができ、安定性と操作性の両立を実現しました。

また、販売面でもさまざまな工夫が必要でした。イベントによって来場者の年齢層や好みが大きく異なるため、景品の内容をどうするかは毎回悩みどころでした。特定の景品に人気が集中してしまい、一部がすぐになくなってしまうこともありましたが、事前に動員数や客層を予測し、複数の景品パターンを用意することで対応しました。特に、子どもたちに人気のキャラクターグッズや、大きめのぬいぐるみなどを取り入れることで、幅広い層に楽しんでもらえるよう工夫しています。景品選びも、ものづくりの一部として捉え、どうすればより多くの人に喜んでもらえるかを考えながら取り組んでいます。

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技術でつながる笑顔の輪

今後は、これまで以上に多くの地域イベントや学校行事に参加し、巨大ガチャガチャを通して技術の楽しさを広めていきたいと考えています。特に、3Dプリンターを活用したオリジナル景品の製作に挑戦し、ここでしか手に入らない特別な景品を提供することで、子どもたちのワクワク感をさらに高めたいです。また、ガチャ本体の構造改良や新しい機構の開発にも取り組み、より安全で運搬しやすく、設営も効率化できる仕様を目指します。

コロナ禍で人と人との交流が制限され、地域のイベントや人のつながりが滞ってしまった中で、もう一度「地元の方々と高専生が笑顔でつながる場を作りたい」。私たちがこの活動で大切にしたい思いです。

巨大ガチャガチャをきっかけに、子どもから大人までが一緒に楽しみながら高専生の技術力に触れ、地域の皆さんと学生の新しい輪が広がることを願っています。機械を通じて生まれる笑顔や会話が、地域を元気にする力になると信じ、これからも活動を続けていきたいです。

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最後に、「ミスミ学生ものづくり支援」と「ものづくりに取り組む学生のみなさん」への
メッセージをお願いします。

『ミスミ学生ものづくり支援』では、今年度支援いただいた3Dプリンターによるパーツ製作や、前年度の透明度の高いアクリル板材を使った外装、回転機構に欠かせない高精度な軸、軽量で頑丈な角パイプなど、多くの部品を活用しました。これらの支援により、ガチャ本体の強度と機能性が向上し、安全でスムーズな動作が実現しています。三代目の巨大ガチャガチャは、過去2年間の支援を通じて完成・改良を重ねてきたものです。高品質な部品のおかげで、耐久性や安全性が向上し、地域の方々に安心して楽しんでもらえる作品になりました。

ものづくりは、新しい技術や便利さを生み出すだけでなく、人と人とをつなげる大きな力を持っています。自分の作ったものを通して、誰かが笑顔になったり、会話が生まれたり、仲間と一緒に試行錯誤する中で絆が深まったりします。技術は人を支えるだけでなく、人の心をつなぎ、地域や社会を元気にできる手段です。失敗を恐れず挑戦し、ものづくりの力でたくさんの人をつなげてください!

ミスミ学生ものづくり
支援担当より

高専ガチャランドは、技術を通じて地域とのつながりを深め、ものづくりの楽しさを伝える貴重な取り組みです。彼らの活動は、技術が持つ人をつなぐ力と、地域社会に貢献する学生の可能性を示してくれています。