支援団体インタビュー
2024年度
秋田工業高等専門学校 秋田高専ロボットコンテスト部
秋田高専ロボコン部T
【活動内容】
私たちロボコン部はNHK主催の高専ロボコンに出場し、地域を盛り上げるようなロボット開発をしています。
【インタビューに答えてくれた方】(2025年6月現在)
菅原 柊さん(チームリーダー兼設計者/秋田工業高等専門学校 創造システム工学科 電気・電子・情報系 電気エネルギーシステムコース 4年)
情熱が動かす、創造と挑戦のロボット
ロボット制作を通じて技術とチーム力を高め、実践的な成長を目指すことを目標に活動している秋田工業高等専門学校の「秋田高専ロボコン部」。今回は、この挑戦的な取り組みを推進する菅原柊さんにお話を伺いました。
私たちは秋田高専ロボコン部として、毎年開催される「NHK高専ロボコン」に2チームで出場し、4月から11月にかけて競技課題に取り組んだロボットを製作しています。アイデアを駆使しながら、課題に挑むロボットづくりを通して、技術や知識の習得だけでなく、チームワークやスケジュール管理など、授業では得られない経験を積み、自分たちの成長につなげることを目的に活動しています。
チーム内ではミーティングを重ね、機構やデザインについて意見を出し合いながら、見て楽しい・動いて面白いロボットを目指して製作に取り組んでいます。大会だけでなく、地域で開催されるイベントにも積極的に参加し、ロボットの展示や体験を通じて、来場者の方々に楽しんでもらえるよう工夫しています。私たち自身も、地域の方々との交流を楽しみながら活動しています。
オフシーズンには、技術の継承と後輩の育成を目的に「部内ロボコン」を開催。ロボコンに必要な考え方や技術を実践的に学べる場として、次の世代につなげる取り組みに力を入れています。

過去の知恵と今の行動力が生んだ解決策
2024年度のサスペンション製作には、かなり苦労しました。その年の競技ルールでは「ロボットがロボットを飛ばす」という内容で、着地時の衝撃を吸収する機構が必要でした。そこで私は、以前OBの方々が製作していた自作のエアシリンダーに注目しました。すぐに連絡を取り、その日のうちに必要な部品を手に入れて試作を開始。競技本番では、このエアシリンダーを活用したサスペンションによって、ロボットをしっかりと衝撃から守ることができました。
この経験を通して、過去の知識や技術を活かして新しいものを生み出すことの大切さを実感しました。同時に、「とりあえずやってみる」というフットワークの軽さも、ものづくりには欠かせない姿勢だと感じました。
また、昨年のロボット製作では、一つの動作を実現するために簡易的な機構を5種類試作し、それぞれの性能を比較検討しました。その中から、ルールに最も適した機構を選ぶことができたのも、地道な試行錯誤の成果だと思っています。結果として、ロボットを思い通りに動かすことができ、大きな達成感がありました。
そして、ものづくりにおいて私が大切にしているのは、ロボットへの「愛着」です。ロボコンでは、半年以上の時間をかけて仲間と一緒にロボットを作り上げていきます。長い時間を共に過ごす中で、ロボットはまるで自分の分身のような存在になっていきます。この想いは、きっと他のチームのメンバーも同じだと思います。だからこそ私は、すべてのロボットに敬意を持って接し、全力で大会に挑んでいます。


知識を蓄え、つなぎ、進化するロボットチームへ
私は、3Dプリンターを活用したロボット制作に興味があり、これまでさまざまな素材の特徴や、構造による強度・しなりなどを感覚的に身につけ、実際に使えるレベルまで研究してきました。今後はこの知見を整理し、誰でも活用できる形で部内の「知識バンク」にまとめていきたいと考えています。そして、構造と素材の組み合わせをさらに深め、競技に適した部品を自分たちで設計・制作できるようにしていきたいです。
また、私は2年生からチームリーダー兼設計者として活動してきましたが、自分の役割をこなすことで精一杯で、後輩の育成には十分に取り組めていなかったと感じています。これまでの経験を振り返り、「こういうサポートがあればよかったな」と思ったことをもとに、後輩が安心して学び、挑戦できる環境づくりを目指したいです。最終的には、ロボット制作に関わるメンバー全員が設計者と知識や情報を共有し、息の合ったチームとして高いレベルでものづくりができるような体制を築いていきたいと考えています。

最後に、「ミスミ学生ものづくり支援」と「ものづくりに取り組む学生のみなさん」への
メッセージをお願いします。
今回の支援では、普段なかなか揃えられない高額な工具を中心に購入しました。特にエンドミルの導入によって、これまで難しかった精密加工が可能になり、ロボット製作の幅が大きく広がりました。電動工具も加わったことで、手作業が減り、作業効率も向上しています。ミスミのECサイトは検索しやすく、必要なものが見つけやすいのが魅力です。ミスミエコノミーシリーズなど、手頃な価格で部品を揃えられる点もありがたく、ロボコン活動でも活用させていただいています。効率的な加工方法と応用の利く機材を手に入れたことで、製作環境の改善につながりました。これからも全力でものづくりに取り組み、見ている人をワクワクさせるようなロボット作りを続けていきたいと思います。
ロボコン活動において壁に当たって心が折れそうになることはたくさんあります。だからこそ、チームの仲間たちと一緒にあれこれ考えながら手を動かし続けることで希望が見え、成功や成長につながります。実際に私も、先輩や先生、チームのメンバーの力を借りて試行錯誤し、自分の理想を実現することができました。皆さんも最高の仲間とともにものづくりに熱中し『良いもの』を作りましょう。
ミスミ学生ものづくり
支援担当より
秋田高専ロボコン部は、競技ロボットを通じて技術力とチーム力を磨き、地域との交流も大切にする貴重な取り組みです。彼らの挑戦は、ものづくりの楽しさと仲間との絆の大切さを教えてくれる活動となっています。