支援団体インタビュー
2024年度
豊橋技術科学大学 ロボコン同好会
とよはし☆ロボコンズ
【活動内容】
とよはし☆ロボコンズは、毎年開催される国内大会「NHK学生ロボコン」並びに世界大会「ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト」で優勝することを目標として日々ロボットを製作しています。
■とよはし☆ロボコンズ 公式HP
https://tutrobo.rm.me.tut.ac.jp/
【インタビューに答えてくれた方】(2025年6月現在)
上野 樹生さん(運営・事務 会計担当(代表補佐)/豊橋技術科学大学 工学部 電気・電子情報工学課程 集積電子システムコース 4年次)
杉元 優介さん(代表/豊橋技術科学大学 工学部 機械工学課程 4年次)
技術を極め、世界へ挑む
毎年開催される国内外の競技大会で世界頂点を目指して活動している豊橋技術科学大学ロボコン同好会「とよはし☆ロボコンズ」。今回は、この挑戦的な取り組みを推進する上野樹生さん、杉元優介さんにお話を伺いました。
私たち「とよはし☆ロボコンズ」は、毎年開催される日本大会の「NHK学生ロボコン」や世界大会の「ABUアジア・太平洋ロボコン(ABUロボコン)」といった国内外の競技大会に出場し、ロボット開発に取り組んでいる学生団体です。「技術を極め、世界へ挑む。」という言葉を活動理念とし、ものづくりを通じた技術力とチームワークの向上、部員は設計・製作・プログラミング・戦略立案などを分担しながら、世界大会で優勝できるロボットを完成させることを活動の目標としています。
具体的には、3次元CADを用いた機構設計、C++やPython(※コンピューターを制御するときに用いるプログラミング言語)による制御プログラム開発、フライスなどの機械加工、回路基板の設計・実装など、多岐にわたる技術が求められます。開発の経緯としては、競技ごとに毎年変わるルールに合わせてゼロからロボットを設計し、半年以上かけて試作・改良を繰り返しています。
私たちのロボットは、センサーや画像処理技術を活用した「ハイブリッド制御」が特徴です。たとえば、カメラ映像からターゲットを自動認識し、リアルタイムに位置制御を行う仕組みを取り入れています。さらに、競技用の特殊な駆動機構や、3Dプリンターで製作したカスタム部品を活用することで、軽量かつ高性能なロボットを目指しています。これにより、戦術に応じた柔軟な動作とスピードの両立を実現しています。

データ分析で突破した技術的難題
私たちは、ミスミのアルミフレーム、精密シャフト、ベアリングなどの機械部品を多数利用しています。特に、短納期でお届けいただけることにより、大会直前の部品調達にもスムーズに対応することができ、大変助かりました。こうしたサポートのおかげで、ロボットの精度および信頼性の向上につながっています。さらに、ロボットの重要な締結部分であるネジも大量に発注させていただきましたが、高品質なネジにより、ロボットの剛性および信頼性の向上にも大きく寄与しています。
開発において特に苦労した点は、ロボットの射出機構の選定です。私たちは、ローラーを用いた射出とベルト駆動による直動式射出のどちらを採用するかで、長期間にわたり議論と検証を重ねました。両方式には一長一短があり、感覚的な判断では決定に至らず、選定作業は難航しました。
この課題を克服するために、3D LiDARを用いたボールの軌道計測ログの取得と分析という手法を導入しました。これにより、射出精度を定量的かつ客観的に評価できるようになり、各方式の性能を相対的に比較することが可能となりました。その結果、論理的かつ根拠に基づいた判断により、私たちのロボットに最も適した射出機構を採用することができました。
この取り組みは、主観ではなくデータに基づいた判断の重要性を実感する貴重な経験となりました。最新の計測技術を活用することで、従来では解決困難だった技術的課題にも科学的なアプローチで立ち向かえることを学びました。

データ分析で突破した技術的難題
プロジェクト活動を通じて得たのは、単なる技術力だけではありません。仲間とともに挑戦し、困難を乗り越える力、そして何より「チームで一つのものを作り上げる喜び」を得ることができたと思っています。ロボットの開発は、設計、加工、組立、制御など、どれ一つ欠けても完成しない複雑な作業であり、1人でも欠ければ、ロボットは動くことはありません。だからこそ、全員が手を取り合い、知恵を出し合い、支え合うことが必要不可欠となっています。
時にはうまくいかず悩み、意見がぶつかることもありますが、それを乗り越え、最後にロボットが思い通りに動いた瞬間の感動は、何ものにも代えがたいものがあります。この経験を通じて、ものづくりの面白さ、そして人と協力することの力強さを心の底から実感しています。
今後の活動としては、まずは国内大会4連覇という偉業を達成すべく、これまで培った技術と経験をさらに磨き上げていきます。ロボットの機構や制御の精度を高めることはもちろん、戦術面でもより緻密な作戦を練り上げ、チーム一丸となって大会での頂点を目指します。
また、活動の中で得た知見やスキルを後輩メンバーにしっかりと継承し、チーム全体の技術力向上にも努めていきます。大会での連覇だけでなく、チームとしての総合力を底上げし、持続的に強い組織を築くことも目指しています。そして、この活動を一過性のものにせず、後世の学生たちにも受け継いでもらい、ものづくりの楽しさや挑戦する文化をずっとつないでいけるよう尽力していきます。

最後に、「ミスミ学生ものづくり支援」と「ものづくりに取り組む学生のみなさん」への
メッセージをお願いします。
私たち一同はミスミ学生ものづくり支援のご協力に心より感謝しております。いつも精密な部品調達の面で大変助けられており、短納期・高品質なサービスが、学生の挑戦を支えてくださっています。今後も、私たち学生エンジニアの夢や挑戦を後押しする存在であり続けていただきたいなと思います。
ものづくりは、失敗と挑戦の連続ですが、その先にしか味わえない達成感があります。ものづくりに取り組む仲間には、ぜひ恐れずに手を動かし、仲間と一緒に理想の形を追い求めてくださいと伝えたいです。失敗を積み重ねた分だけ、必ず成長できるのがものづくりの世界です。楽しみながら、挑戦を続けていきましょう!
ミスミ学生ものづくり
支援担当より
とよはし☆ロボコンズは、最先端技術とデータ分析を駆使したロボット開発で世界頂点を目指し、チームワークの力でものづくりの可能性を広げています。彼らの挑戦は、技術力と人間力を両立させながら、未来の社会に貢献する人材を育成する貴重な取り組みとなっています。