支援団体インタビュー

2021年度

九州工業大学 九工大学生プロジェクト

すぐ創る課

インタビューイメージ

【活動内容】

「すぐ創る課」は、高齢者や障がい者などのニーズに応え、福祉機器や介助用具を作成しています。またそこで得たノウハウや開発機器を福祉機器展などに展示し、社会貢献と技術力の向上を目的に活動しています。

■九工大学生プロジェクトすぐ創る課HP
https://yamasaki5868688.wixsite.com/hsc-site/すぐ創る課

【インタビューに答えてくれた方】(2022年3月現在)

山崎 駆さん(プロジェクトリーダー)
(九州工業大学 生命体工学研究科人間知能システム工学専攻博士 前期課程2年)

『ミスミ学生ものづくり支援』を
利用して

今回は「2022国際ロボット展」に展示するロボットシステム開発のため、「ミスミ学生ものづくり支援」にご応募いただいた、九州工業大学『九工大学生プロジェクトすぐ創る課』のプロジェクトリーダーの山崎 駆さんにお話を伺いました。
ミスミ学生ものづくり支援では、電動移動式モバイルチェアの開発パーツを注文しました。このモバイルチェアは、衣服介助ロボットシステムの一部として使用をしています。
これまでの「電動車椅子」とは違い、衣服介助を行うため背もたれを取り除き、椅子の高さ調整も簡単に行えます。本ロボットシステムは2022国際ロボット展で出展します。
今回の注文ではミスミのmeviy(メヴィー)を活用しパーツ制作を行いました。3Dプリンタでの作成ノウハウがある私たちにとってmeviyは非常に使いやすいプラットフォームでした。

インタビューイメージmeviyで作成したパーツ

インタビューイメージ電動移動式モバイルチェア

最も大切にしていることは
“スピード感”

すぐ創る課は、高齢者や障がい者を始めとする個別性が高く研究やビジネスとして非常に取り扱いにくいニーズに応えるために設立した学生団体で、現在20名で活動をしています。個別ニーズに密着した開発を行うため、それぞれの機器にそれぞれの開発経緯があります。
それぞれの方が持つ異なるこだわりや感性に合わせ、要望を上手く汲み取りながらシステム設計に反映させることが難しくもあり楽しい点です。
また開発を行うにあたり、最も大切にしていることは、「すぐ創る課」の名前の由来にもなっている“スピード感“です。より具体的に言うと、3Dプリンタやモジュール式ロボットなどのラピッドプロトタイピング技術を活用することで、すばやく開発を行うことができており、それが「すぐ創る課」の技術的特長となります。
すばやく開発することで、評価から実証を何度も繰り返し行うことができ、個人個人のチューニングを上手く行うことができます。

インタビューイメージ衣服介助のため背もたれを取り除いた仕様に

福祉機器に総じて言えることは、個人適応の難しさです。私たちが開発を行うものは全て「人が使うこと」、「人と協働すること」を前提としています。そのため、どのように設計すれば簡単にチューニングを行うことができるかを常に意識して作成しています。すぐ創る課が活動を行なっているスマートライフケア共創工房は厚生労働省の介護ロボットの開発・実証・普及のプラットフォームの拠点にも選ばれているため、作成した機器の評価なども行いながらチームで連携して開発を進めています。

インタビューイメージプロジェクトリーダーの山崎駆さん

今後の目標は仲間を増やし
福祉機器発展に貢献すること

このプロジェクト活動では、「共創」という理念を大切にしています。自分が想像したものや作りたいものを形にすることは近年の技術の発展で非常に簡単になりました。一方で、人が欲しいものを想像し作り上げることは容易ではなく、それを可能にするためには密に当事者とコミュニケーションを取りながら開発を進める必要があります。これからも個別ニーズに寄り沿いながら、共に創る制作活動を続けたいと思います。
今後はすぐ創る課の活動をより多くの人に知ってもらい、福祉機器の開発を行うサークルや学生団体を増やすことが私たちの目標です。そしてそれらの団体と協力し合い展示会の開催や出展等を行うことで、福祉機器の発展に寄与できればと思います。

福祉機器イベントでの出展の様子
福祉機器イベントでの出展の様子

スピード感をモットーに課題を解決
スピード感をモットーに課題を解決

最後に、「ミスミ学生ものづくり支援」と「ものづくりに取り組む学生のみなさん」へ
メッセージをいただきましたのでご紹介します。

まず「ミスミ学生ものづくり支援」からはこのようなご支援をいただけることに対してとてもありがたく感じております。ものづくりを行う権利は誰にでもあります。私たちはそれを念頭に、課題を持たれている多くの方々にものづくりでの解決する活動を行ってきました。皆さんが持っている技術を使い課題解決しながら、ものづくりの楽しさを世界に広げていきましょう!私たちは年齢や障がいに関係なくものづくりができる世界を築いていきたいと考えています。