支援団体インタビュー

2018年度

東京大学

RoboTech

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【活動内容】

RoboTech(ロボテック)は『NHK学生ロボコン』や国内大会の優勝チームが出場できる『ABU』で優勝することを目指して競技用ロボットを設計、開発している東京大学のサークルです。NHKで6度、ABUで1度の優勝経験があり強豪チームとして、日々ロボット製作に励んでいます。

■東京大学ロボテックHP https://tuk.t.u-tokyo.ac.jp/robotech/

【インタビューに答えてくれた方】(2019年11月現在)

副部長・渉外・機械屋
堀井 雄太さん(東京大学工学部 3年) ※写真後列右から2番目

『ミスミ学生ものづくり支援』を
利用して

「ロボットの製作にいつもミスミさんの『MISUMI-VONA』を利用しています。理由はいつも急いでいるから(笑)工具のほか、ネジやベアリング、パイプなどの基礎的な部品は設計後、加工に入ればすぐに必要になるので、短納期のミスミさんに頼っています。それに、ミスミのWebサイトからダウンロードしたCADデータは、過去から蓄積していて今でも活用しています」
時間短縮によって生まれた時間は、独自装置の開発に使えるので効率的だとお話しする堀井さん。ロボコンで使う重要な部品のほとんどはミスミ製だそうです。

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「脚に力を伝達する遊星ギヤの減速機は、最初は軸などを手加工で作っていましたが、ギヤボックスは精密で、少し寸法がずれただけでも回転しなかったり、ガタついてしまいます。ミスミの『Cナビ』を利用したら、そうした問題が発生しなくなりました。以来、特に精度が求められる部分の軸加工は自分たちではやらないようにしています」
『学生ものづくり支援』で得た5万円分の購入費は、アルミパイプやネジなどの確実に使う基礎的な部品の購入に充てられました。
「優れたロボットを開発するにはお金が掛かります。連続して世界大会に進出するとそれだけ開発にかかる費用が増加するため、部費だけでまかなえない分は、企業の皆様に寄付をお願いしています。ミスミさんの『学生ものづくり支援』もその一貫にあり、今回も助かりました」

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トップクラスの強さの秘密は
「教育」

RoboTechはこれまで『NHK学生ロボコン』では6度、『ABU』で1度の優勝経験があります。2019年度のNHK学生ロボコンは競技中にロボットにトラブルが生じて4位に終わりましたが、技術賞を受賞しました。このように、RoboTechは例年予選を勝ち抜き、決勝に進出する強豪校です。その強さの秘密はどこにあるのでしょうか?
「大切にしているのは教育です。新入生はほぼロボット製作の経験がなく、設計で使用するCADもプログラミングも分からない状態なので、基礎知識・技術の教育から始めます。ミスミのカタログは、この教育ツールとしても役立っています。

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始めは小さなロボットを少人数で作り、次第にロボットを大型化していって、多人数で製作させます。すると、誤差の調整やマネジメントなどが必要となり、チームのコミュニケーションの密度が必然的に上がっていきます」
他にも、大会がない期間は上級生がワークショップ形式で製作方法や制御技術などの講習会を実施したり、また、過去ロボコン出場の技術情報や作業日誌がデータベース化されていて、必要に応じて参照が可能とのこと。知識・技術力を向上させる機会を豊富に設けています。

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スピード走行と安定走行を究めた
ロボット開発

堀井さんが副部長になる前の、開発のメインとしてはじめて挑んだ『2019年度NHK学生ロボコン』は、馬に見立てた2台のロボットが障害物をクリアして通行証をゴールまで運び届ける早さを競うものでした。
「スタート後すばやく障害物コースを駆け抜ける1台目のロボットは、駆動の方向を自由に変えられる車輪を備えています。足回りの構造を工夫し、摩擦力を利用して高速かつ複雑に方向転換し、障害物を巧みによけて進みます」

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「2台目は、動物らしい脚を備えた4脚歩行型のロボットを開発しました。通常はモーター1台で脚全体を駆動する機構を採用することが多いのですが、RoboTech では2台のモーターを使用し、脚の関節ごとに独立に動かして歩く機構を採用しました。複雑な関節を持つため難度の高い設計・制御技術が求められますが、胴体を安定させながら障害物を越えられるので有利だと考えました」

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NHK学生ロボコン2019
NHK学生ロボコン2019にて
予選を順調に1位通過

4脚で走行
まさに馬のように4脚で走行し
障害物を乗り越える

決勝リーグ1回戦
決勝リーグ1回戦にて
本大会最速の25秒で勝利!

ベスト4、技術賞受賞
準決勝でトラブルに見舞われ
ベスト4、技術賞受賞

次世代に伝えたい
強い技術と負けない気持ち

企業から寄付を募る際に、どんなことを説明しているのでしょうか。
「私たちが学生ロボコンに参加する意義をお話しします。すなわち日本で勝って世界へ行きたい、海外の優秀な学生・技術者たちと交流したいという想いです。ABU大会出場だけでなく、たとえば中国・瀋陽の東北大学で行われた技術交流会に参加したり、香港の大学生が来日して私たちのロボットを視察することもあります。こうした交流が生まれるのは学生ロボコンのもうひとつの魅力です。そのために私たちは優勝を目指しますし、優勝するにはサークルメンバーの技術力を上げる必要がある。だからこそ新入生教育に力を入れ、技術力の底上げを図っていきたいのです」
ABU大会では、中国やベトナムのロボコンチームが技術力を上げており、高次元な競技になっているそうです。RoboTechがこうしたチームに引けを取らないロボットをつくるためにも、技術レベルを上げていくことが必須です。
「みんなで知恵を出し合い、負けないロボットをつくってきました。この技術と経験を後輩たちに伝承していきたいと思っています」
強いロボットをつくり続ける意志が、新しい時代のロボットの可能性を切りひらいています。

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