INTERVIEWS

インタビュー

第41回大会 ミスミ賞

飛騨神岡高校(ヒダカミロボ部)/KAGRA-菫

  • 藤田 杏花(ふじた きょうか)さん
  • 中島 彩音(なかしま あやね)さん
  • 中島 咲音(なかしま さきね)さん
  • 上葛 想日(かみくず あいか)さん
INTERVIEWS

対面競技のおかげで、
人と人のつながりを感じることができました

全員工作経験は授業のみという高校2年生の女子4人で組み上げた『KAGRA-菫』。パフォーマンス部門で披露した「手話」のデモンストレーションや、部品の綺麗な仕上げが評価されたことはもちろんですが、メンバーが一体となって作り上げたチームワークは、観るものたちを熱くさせました。

きっかけはそれぞれでも、
「楽しそう」な雰囲気に惹かれて入部

ミスミ賞の受賞、おめでとうございます。

みなさん:ありがとうございます。

ROBO-ONEでは女性チームとして注目されますが、飛騨神岡高校では珍しいことではないんですよね?

中島 彩音さん:はい。1年生に1人、2年生に私たち4人、3年生に1人で女子が6人います。男子は11人で、全体17人で活動しています。2年生は男子が2人なので、女子の方が多いです。

KAGRA-菫

  • Concept

    がっちり! しっかり!
    見た目が美しいロボット

  • Weight

    3100g

  • Height

    55cm

  • Axis

    サーボモーター18個

皆さんそれぞれのロボットに興味を持ったきっかけと、ロボ部に入ったきっかけをお伺いしていいですか。

藤田さん:きっかけはお父さんから「ロボ部に入ってみる?」と勧められたことです。いとこが以前ロボ部に入っていて、いろいろなイベントに参加してきた話を聞いて楽しそうだなと思っていました。中学校の頃は将来建築の方に進みたいと考えていて、少しでもものづくりに関係する部活に入りたいと思っていたのもあります。

中島 彩音さん:ロボットに興味を持ったのと入部のきっかけは同じなのですが、私が入学する前の38回大会で先輩方が優勝されたのを知って「私もやりたい」という衝動で入部しました。本当に中学生までは授業以外で全くロボットや工作をしたことはなかったです。

中島 咲音さん:姉(中島 彩音さん)がロボ部に入りたいと家で話しているのは聞いていました。見学に行った際に、アットホームな信頼関係で成り立っている部活ということを知ることができて、すごくいい部活だなと思って入部しました。

上葛さん:ロボットの知識もモノづくりの経験も全くありませんでした。ですからロボ部に入って1からロボットのことを学びました。

チーム内での役割分担はありますか?

中島 彩音さん:特に役割分担は決まっていません。私たち4人で『KAGRA-菫』の金属部品折り曲げやアルマイト加工*1、モーションまで全部の作業を行っていました。ただ、ROBO-ONEは3人1組なので、同じタイミングで作っていた兄弟機の『KAGRA-紅』を担当する男子2人を加えて、男子1人・女子2人の2チームに分かれて出場していました。操縦者は気づいたら私がなっていました(笑)。

藤田 杏花さん
中島 彩音さん
中島 咲音さん
上葛 想日さん

初めて参加した“リアル”大会は魅力満載

皆さんROBO-ONEへは初参加ということになりますか?

中島 彩音さん:自分たちが操縦者として出るのは今回が初めてです。それまでのリモート大会は学校で行っているリモートでの競技を見学して、裏方でサポートをしていました。

リモート大会と、他の製作者の人がいる今大会では雰囲気は違いましたか?

藤田さん:試合に出た時、審判の方や周囲の人が見えて、緊張で手が震えました。

中島 彩音さん:今回はとにかく楽しい気持ちでいっぱいでした。やはり対面で競技したほうが、対戦相手の方と「お互い頑張りましょう」と声をかけあうこともできて、人と人のつながりを感じられます。

中島 咲音さん:リモート大会では画面上にロボットしか出てこないので、操縦者の方や製作された方がどんな人なのかっていう人柄が見えてこなかったのです。今回はロボットの実物を見ることができたことはもちろんですけど、会ってみたいと思っていた、前回大会で優勝されている方とか有名な方とかが、どんなふうにモーションを作っているのだろうというのがすごく不思議だったので、直接会えたことがすごく嬉しくて、感動につながりました。

実物を目の前で見て、画面上で見るのと違う発見などはありましたか?

藤田さん:カメラ越しでは大きさがわかりにくいので、実際に見たときには「こんなに大きいのだ」「背が高い」「腕が太い」など、感じる部分が色々ありました。

中島 咲音さん:動きとかよりは、例えば『ex machina』*2のように、インパクトがあるルックスで、配線も全部目に見えないようなところに収めていたりというような、製作者の想いが詰まっている機体がたくさん見られたので、とても勉強になりました。

「自分たちの頑張りを第三者の方に
評価してもらえたのが嬉しいです」

『KAGRA-菫』は久しぶりの新型機なのですね。

中島 彩音さん:競技規則の重量制限が4kgに変わるタイミングで製作したので、今までの機体よりがっちりしています。当初は3kg以下で作っていたのですが、今後のためにも4kg以下の規格にしようと方針が変わって、3kg用に1度組み立てていた部品も全部外して、規格に合わせるために足の部品を延長するなどの改造をしました。

パフォーマンス部門の「手話」は製作前から決まっていたのですか?

中島 彩音さん:いえ、機体が完成してから何ができるかを皆で考えて、最終的に『パプリカ』を踊ることにしたのです。でも、そのあとで音源を大会で流せないことがわかって。

中島 咲音さん:色々考えて、誰もやったことがない、ということが決め手になって「手話」に決まりました。

手話はセカンドチョイスだったのですね。

中島 彩音さん:そうです。手話についても私たちは全く知識がなくて、大会2週間前ぎりぎりなのに、調べるところから始めました。かつ『KAGRA-菫』のハンドには指がないので、指を使わずにできる手話の文章を自分たちで作って、みんなでモーションも作りました。指が1本2本あるだけでもできる手話が増えるので、正直なところ時間があれば付けたかったです。

「初めての手話」という部分も評価されたと思うのですが、ミスミ賞の受賞を知ったときのお気持ちは?

藤田さん:本当に私たちがミスミ賞を獲ったのかなって思いました。みんなで頑張って作ったロボットがミスミ賞に選ばれて本当に嬉しかったです。

中島 咲音さん:自分たちの頑張りを第三者の方に評価していただく機会が今まであまりなかったので、今回評価していただけたことがすごく嬉しかったです。

パフォーマンス部門の手話以外に、ファイト部門用のモーションはどんな感じのものを作られていましたか?

中島 彩音さん:手話に時間をかけすぎて、バトル用のモーションはそれほど多く作れませんでした。前転キックや踏み込み攻撃も作ってはいたのですが、使えないまま1回戦で負けてしまいました。首都圏であれば競技会で実戦を経験できる場も多いと思うのですが、岐阜県の山奥にはないので。パフォーマンス部門にかかりきりになってしまった今回の反省を活かして、今後は部内での練習試合もやっていきたいね、と相談しています。

『KAGRA-菫』で特に注目してもらいたいポイントはありますか?

藤田さん:ROBO-ONEには珍しい、紫を全身に使っているアルマイト加工の機体色に注目して欲しいですね。私自身、文房具などに取り入れるくらい紫色が好きなので、自分が関わる機体が紫色なのがすごく嬉しいのです。ヒダカミロボ部の中で赤、緑、黄色、青などがすでに使われている中で紫色の機体は作ったことがありませんでしたし、ROBO-ONEの二足歩行ロボットの中でも紫の機体ってなかなかないので、見ただけで覚えていただけるのは良いのでは、と考えて決めました。

「どの分野に進んでも、メカに強いのは
プラスになると思います」

今後のROBO-ONEでの抱負はありますか?

上葛さん:ロボットについての知識をもっとつけて、次のROBO-ONEでも良い結果を残したいです。

中島 咲音さん:今回、自分たちが出せる最高のものを出してしまったので…自分たちでハードルを上げてしまった以上、次回どんなパフォーマンスをするのか今のうちから考えていかないと、というプレッシャーがあります。

中島 彩音さん:他の参加者さんには出せない、高校生らしいアイデアで、たくさんの人に届けられるステージを二足歩行ロボットで作っていきたいと思います。それとは別に、個人的に見た目が動物の機体がいいなって思っていて。『コビス』*3のネコとか『太極パンダ』*4のパンダとか、動物かわいいなーって思っていたので(笑)。ずっと言っているんですけど、却下されるかもしれません(笑)。

将来はどのようにロボ部の経験を活かしていきたいですか?

中島 咲音さん:私は将来 言語聴覚士になりたいと考えています。医療とロボットという関係は今後互いを高め合えるものだと思うので、ロボットについて学んで自分の将来に活かしていきたいと思いますし、どの分野においてもメカに強いのはプラスになると思っています。卒業しても時間さえあればミスミさんの商品を使って、個人参加してみたいという気持ちはあります。

藤田さん:最近になって自分の趣味が音楽関係とか料理関係になっていて。ロボットとは全く違うものなのですけど、ロボ部で得た知識を自分のもう一つの趣味として取り込んで、将来に進んでいきたいなって思います。

中島 彩音さん:ロボットを作るための設備を家に作るのは大変なのですよね。今自分たちが1からやっている作業を代行してくれるミスミさんのサービスはすごいと思います。卒業してまたROBO-ONE出たいなと思ったら、「meviy」にお願いして、部品を組み立ててプログラミングするだけにしたいですね。

  • *1 アルミニウムに電解処理を行うことで酸化被膜を形成する防錆表面処理
  • *2 第41回ROBO-ONEファイト部門3位、ミスミ賞受賞
  • *3 第41回ROBO-ONEファイト部門4位
  • *4 第41回ROBO-ONEパフォーマンス部門6位

インタビュー一覧