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第34回大会 ミスミ賞

Lupusルプス 福岡工大ロボットプロジェクト

  • 佐竹 裕介(さたけ ゆうすけ)さん
  • 金田 悠樹(かねだ ゆうき)さん
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カッコいいロボットを作りたい」がすべてのスタート

Lupusの特徴

Lupusの特徴を教えてください。

佐竹さん: 普通のROBO-ONEのロボットだと、胸が出てるロボットってあんまりいないと思うんですが、この「胸」が一番の特徴です。好きなゲームの登場ロボットに影響を受けていて、ハト胸というか、張り出した胸がカッコいいと感じます。肩の位置も、真横についているとちょっと雰囲気が出ないなと思ったので、減速機構を色々使って、軸構成などを工夫してこの位置になるように設計しました。

肩も印象的ですね。

佐竹さん: Lupusはこうして肩を含めた上半身をいかつい感じにしてるんですが、以前は足が細くてそれに合ってなかったんです。普通、人間は腕より足の力が強いですよね。なので、いろんなロボットも参考にして、足を太く作り替えました。

受賞コメントでは色にも触れていました。

佐竹さん: メタリックレッドの塗装もポイントです。一部アルミ地のままなのは、全身真っ赤にしてしまうのはちょっと違うかなと思っていて。逆に胴体は赤色を目立たせたいから、後ろも含めて全体的に赤です。でも頭は藍色なんですよ。人には「黒かシルバーにしたら」って言われたこともあったんですけど、ここだけ、あえて藍色なのがちょっとしたこだわりです。

Lupus(ルプス)

  • Record

    第34回 ROBO-ONE ベスト16

  • Weight

    3kg

  • Height

    50cm

  • Axis

    サーボモーター27軸

何度も作り直せた環境

Lupusはどんな環境で作られたのでしょうか?

佐竹さん: 福岡工業大学には「モノづくりセンター」という施設があります。大型フライス盤やNC旋盤、MODELA*1があったり、溶接もできたり、全国で見てもけっこう揃ってる方だと思います。ここにNHKロボコンとかソーラーカーといったプロジェクトのブースがあるんですが、そのひとつとして二足歩行ロボットプロジェクトが入っています。10年以上前から続いているんですが、先輩たちがサーボモーターなどの部品を貯めてくれていたおかげで、今はプロジェクトで10機近くの二足歩行ロボットがあります。

お2人がそこでロボットを作るきっかけは?

金田さん 僕は元々、高校の時に、ROBO-ONEは行ってないんですけど、ヒト型ロボットっぽいことはしていたんで、そういうプロジェクトがあると聞いて今の大学に入りました。

佐竹さん: 自分は学校に入ってから知りました。ヒト型にはこだわっていなかったんですけど、カッコいいロボットを作りたいなっていうのはありました。プロジェクトの設備を見に行って、こんな施設があるのか、素晴らしいな と思ったのと、先輩の赤いロボットがカッコよくて始めました。

金田さん 最初に研修があって、彼(佐竹さん)とはその研修でたまたま同じ班になった時に学科を聞いて、そこから部活や授業、実験の時とかもほぼほぼ一緒にいて、ずっとロボットの話をしながら、ずっと授業を受けていた、そんな感じですね。

Lupusは2人で設計されたのですか?

佐竹さん: 基本的に自分が設計しました。彼(金田さん)は自分のロボットも持っているんですが、Lupusに関してはメンテナンスなどでサポートしてもらっています。逆に彼のロボットに、自分が「こういうモーションを試したらうまくいったよ」とアドバイスしたり、お互いに助け合っています。
設計するときには格闘ロボットとして「これをする、これをしたい」っていうのを出して、見た目をカッコよくしつつ、性能は維持するというように設計してきています。でも、大会が終わったらもう作り直しているんで。去年の2月の大会と比べると今の機体は面影が無いんですよ。同じ部品は頭とサーボモーターだけで。その間5回くらい作り直しています。何回もコンセプトは変わって、そのたびに実験ですね。試して、有効だったかどうかを確かめてます。

Lupusはこれで完成ではない?

佐竹さん: もちろんです。今も設計していて、「ハードラックス」(第33回ミスミ賞)のハサミ(手)とかすごくカッコいいじゃないですか。次回以降をにらむとあの手先は有効だと思いますし、自分も試してみたいなと思っています。

*1 MODELA: ローランド社製の切削加工機械3Dデータに従って樹脂や軽金属を加工できる。

「好きなロボットで勝つのは嬉しい」

今後はどんなロボットを作っていきたいですか?

金田さん 僕は就職先にロボットを作っているサークルがあるらしく、そこに入って画像処理で自律動作できるロボットを作れたらいいなと思っています。

佐竹さん: 今まではプロジェクトだったので、頑張って成果を上げようとバトル向けに注力していましたが、社会人になったらそれ以外のものにも力を入れてみたいなと。ゲームのロボットを再現して、武器はどうとか、子供たちにウケたりとか。ロボットを好きになってもらって、見た人がROBO-ONEに限らず、そういったものに興味を持ってくれそうなロボットを作ってみたいですね。

社会人になると大学の設備は使えなくなりますか?

佐竹さん: OBであれば使えないことはないと言われているんですけど、ちょうど今回の大会でミスミさんの「meviy」っていうサービスが出ていたんで、最初はそれで検討してみようかと。金額とか見積りを見て、自分でお金を貯めて、頑張って時間を作って……それで自分のロボットをとりあえず持ったら、簡単に加工できる環境を自宅に整えることなども考えています。

さらにこだわりのロボットが作れそうですね。

佐竹さん: 自分好みなロボットを作る方が楽しいと思いますし、モチベーションも上がると思うんです。バトル大会なんで、強さももちろん大事ですけど、やっぱり自分で好きなものを作って勝ったほうがもっと嬉しいかなと思っています。

金田 悠樹さん

佐竹 裕介さん

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